「自分が育てられた」 BJS校長 櫻田弘道さん

 「バンドンに来て自分が育てられた」――。2015年4月から3年間、BJSで校長を務めた櫻田弘道さん。小規模校の良さを生かしながら生徒一人一人と向き合い、教員や保護者らと力を合わせより良い学校づくりに尽力。「安心や信頼があり、心が真っすぐ育つ生き方を学ぶ場所として、この学校はすごく意味がある」と温かいまなざしを向ける。
 「学校は大切なわが子を預け、(子どもの)一生を左右するかもしれない場所。保護者の方は安心・信頼がないと、(子どもを)入れてくださらない」と話す。
 赴任後は新たに、他校の子どもたちを招いて授業体験や課外活動をバンドンで共に楽しむ「サマースクール」や、ジャカルタ、スラバヤ日本人学校と互いの訪問や授業体験なども実施。外部との交流の機会を増やしながら、BJSの良さも伝えてきた。
 BJSの在校生は現在、幼稚園5人、小学部8人(うち1人は3月卒業)、中学部3人。教員らが子ども一人一人に必要な力が何かを考え、真剣になって関わる大規模な学校にはない「ぜいたくさ」があると話す。
 「同級生がおらず競争力がつかないと心配する声もあるが、将来、必要なのは競争力ばかりではない。人としての温かさが育つことがより大切。日本に帰っても心配ない」と櫻田さんが胸を張って言えるのは、BJSの卒業生が日本の大規模な学校で、生徒会の役員や寮長、児童会長などになり活躍する姿を見て実感したからだ。
 4月には小・中学部に5人、8月に3人が新たに入学・転入する。「自分はいなくなってしまうが、子どもが増える見通しを持って帰れることは本当にうれしい」と笑顔を見せる。
 「いろんな人の力を借りてより良い学校づくりに励んだ。少しずつ、BJSのことを理解し、応援してくれる人が増えてきたと感じている」と語った。
 今後は週1回、インドネシア人の先生による空手の授業を実施するなど、地元のインドネシア人と接する機会を増やしていくという。「子どもたちには、日本人だけでなく尊敬できるインドネシアの人と直接接してほしい。授業は少人数で力を付け、それ以外の活動ではインドネシア人を含めた地域の方も交えることで、少人数のデメリットを消していくこともできる」と今後へ期待を寄せた。
 帰国後は、平昌五輪で銅メダルを獲ったカーリングの選手を多く輩出して注目されている、北海道北見市にある常呂小学校の校長として勤務する。
 インドネシアでの生活を振り返り「人が素晴らしい。感じが良くて温かい。とても感謝しているし、また来たい」と笑顔を見せる。「自分の価値観を広げてくれたのは、インドネシアで接した人たちのおかげ。家族や仲間で過ごす時間など大切なことは何か知っているから」と話した。(毛利春香、写真も)

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