川がつなぐ日イ友好 ボランティアが清掃活動 多摩川とチリウン川

 多摩川の自然を守り、歴史や文化、魅力を発信するNPO法人「多摩川エコミュージアム」(本部・川崎市多摩区)の理事らが22〜25日、ジャカルタを訪れ、現地の清掃ボランティア団体と共にチリウン川の清掃活動を行うなど交流を深めた。今後ウェブサイトなどを通じ、共同で清掃活動やごみ問題などについて情報を発信していく考えだ。 

 来イしたのは同法人理事の橋本満昭さん(74)、副代表理事の五十嵐豊さん(69)、同理事の升田修二さん(66)。2008年4月から、毎月第一土曜日に多摩川沿いなどを清掃している。また、川下りや投網体験などのイベントを開催し、市民と多摩川をつなげる活動を行っている。
 3人がジャカルタを訪れるきっかけとなったのは、日イのメンバーでごみ拾いに取り組む「ジャカルタお掃除クラブ」が日本を訪問した際、多摩川の清掃活動に参加したこと。2015年10月、16年5月と交流を重ねた。
 積極的に学ぼうとする熱心なインドネシア人からチリウン川の現状を聞き、「直接インドネシアに行って現状を見てみよう」と今回の訪問が実現した。日本側のお掃除クラブ代表の屋形修さんら2人も同行した。
 3人は「昭和40年代は多摩川だって汚かった」と話す。生活排水が流れ込み、洗剤の泡が川面を覆っていた。それが今ではアユがたくさん遡上(そじょう)する川になった。
 多摩川で川遊びができるまでになったのは下水処理施設が整備され、水の8割が下水処理水になったからだという。五十嵐さんは「川を本当にきれいにするためには行政の手助けが不可欠。市民の意識が高まり、多くの人が清掃活動に励めば、行政ももっと動きだすのでは」と話した。

■首都圏の川に共通項
 一行は、チリウン川の地域住民がつくる複数のコミュニティーを束ねる清掃ボランティア団体「きれいなチリウン川運動」のメンバーや、「オレンジ部隊」と呼ばれるジャカルタ特別州清掃局の清掃員らと共に、中央ジャカルタ・タナアバンのチリウン川沿いを清掃した。 
 実際にチリウン川を見た升田さんは「プラスチックのごみがものすごく多い」、橋本さんは「ぽこぽこと浮かんでいる泡のようなものはメタンガスではないか」と話した。
 清掃後はそれぞれの活動ついて紹介した。西ジャワ州ボゴールのプンチャックからジャカルタ湾に注ぐチリウン川は全長約120キロ。山梨県・東京都・神奈川県を流れる多摩川は約138キロ。ほぼ同じ長さで首都圏を流れる都市河川という共通項があり、親近感を持って意見を交換した。
 今後は多摩川とチリウン川のウェブサイトやフェイスブックページを共同で制作。「チリウン川の日」の11月11日、多摩川でもお祝いの清掃活動を実施することなども話し合った。多摩川のリサイクル表をシェアするなど、互いに協力して清掃活動に取り組んでいくことを約束した。
 五十嵐さんは「インドネシアの方は、ごみ問題や清掃活動にプライドを持って取り組んでいる」と感想を語り、ジャカルタお掃除クラブの芦田つよし代表(55)は「今後、姉妹都市ならぬ、姉妹川になっていければ」と話した。
 ボゴール県でごみ銀行を運営しているアデさん(45)は、「チリウン川のことを気にして日本から来てくれたことに本当に感謝している。今回の活動を皆に伝えれば、モチベーションが上がると思う」と話した。(上村夏美、写真も)

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