「日本の知見を生かしたい」 竹部JJC理事長インタビュー

 ジャカルタ・ジャパンクラブ(JJC)の竹部幸夫新理事長(三井物産駐インドネシア総代表)は本紙のインタビューに応じ、インドネシア政府の政策実現に協力するため、「日本の知見を生かして行きたい」と強調した。インドネシアの成長力も高く評価したが、一方で、不必要な規制の緩和も求めた。

 竹部理事長はジャカルタに赴任してまだ1カ月弱、この国の印象を「熱気ある混在」と表現し、「新と旧、理想と現実などが混在している。急な成長カーブを描く国によく見られる現象だが、その混在に熱気があふれている」と語った。
 日本は既に成熟した国だが、インドネシアはこれから成長する国。しかも人口約2億5千万人、「経済はもちろん教育や生活水準とかすべての面で、成長する可能性の大きさは世界一ではないか」との見方を示した。
 ジョコウィ大統領については、「国の成長期に、時宜を得た指導者が出たという印象を持った」という。竹部理事長は20日、中央ジャカルタのホテルで開かれた世界経済フォーラム東アジア会議で、ジョコウィ大統領の経済政策の演説を聴いた。演説で大統領は改革の必要性を強調したが、「決意を内に秘め、国民を信じていると思った。個人的にファンになりました。この国は本当に信じられないような成長を遂げるのではないか」と期待感を表明した。
 現在のインドネシアの政治状況は「既得の権益を持つ層と持たない層が、いろいろな分野で主導権争いをしている」と分析した。
■人、金の導入路開いて
 ジョコウィ政権はこの半年、エネルギーやインフラなどで新しい政策を打ち出し、前政権との相違も明確になった。そういう中でチラマヤ新港問題も出てきたが、竹部理事長は日経企業の基本姿勢として、「この国の政策、したいことを理解し、それに適応していくべき」と強調した。
 それでも注文や要望はある。「この国に投資したい人はたくさんいます。人材を送り込みたいという企業も少なくない。しかし、導入路が詰まっていては入りたくても入れない。ビザの問題など不必要な規制はできるだけ減らしてほしい」と要望した。
 その上で、注目の分野としてエネルギー、インフラ、金融、農業、人材育成、先端技術、サービス業などをあげた。戦後、日本は公害や自然災害を乗り越え、苦労して現在の繁栄をつくってきたが、「その知識と経験を生かせる分野が多々ある。じっくり時間をかけて話し合っていきたい」と語った。
■カリマンタンで石炭
 竹部氏は三井物産で鉱物資源一筋。鉄、石炭、銅、ニッケルなどを求めて、オーストラリア、ブラジル、南アメリカなどで資源開発に携わった。インドネシアでは1995〜96年にカリマンタンで石炭開発の融資案件に関係した。バリックパパンからヘリコプターでジャングルの上すれすれに1時間飛んで採掘場へ行ったという。「そこで現場を見て、話を聞いて、バリックパパンに戻り、融資先と打ち合わせ。終わればまっすぐ日本へ帰るという繰り返しだったが、ジャングルや食事など得難い経験でした」と振り返った。
 昨年1月、インドネシアは新鉱業法で未加工鉱石の輸出禁止措置をとったが、「付加価値を付けて輸出したいという方向性は、間違っていないと思う」と述べた。(臼井研一)

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