スラウェシで養殖目指す 6種生息「ウナギの宝庫」

 ウナギが豊富に捕れる中部スラウェシ州がウナギ養殖の発展に取り組み始めた。乱獲や密輸などの問題を解決し、採算の取れる養殖産業を育てて最終的には日本への輸出を目指す。

 中部スラウェシ州は2009年から本格的にウナギの生態調査を開始。10年にはロンキ・ディアンゴラ知事がウナギを優先的に育成する商品に指定した。取引の中心は州都パル市。主な取引業者10社のシラスウナギ取引量は10年に8トンだったのが、12年には41トンにまで増えている。
 世界にウナギは19種あるとされているが、同州ダドゥラコ大水産学部のファドリー・タントゥ講師によると、同州はマカッサル海峡やトミニ湾、パル川、ポソ湖などで6種類が確認されている「ウナギの宝庫」という。
 同州は一番多く生息しているとみられる「マルモラタ種」の養殖業者育成に注力するという。まだ業者はわずかだが、日本の技術者を招いて、シラスから養殖するノウハウを吸収することを計画。同州の産業に育てて日本などへの輸出を目標としている。
 一方で、同州内では当局への届け出のない違法取引や密輸が横行。ウナギの違法取引は09年の500キロから12年には2.5トン以上にまで増えていると見積もられている。
 現状は養殖技術がなく、捕獲に頼っており、個体数が減っている可能性もある。電気ショックを与えて大量に捕る違法な漁法も用いられている。水力発電所のタービンに入って死亡している個体も多数発見されているという。
 「ウナギは種類ごとに養殖方法が異なるため、種類が多いスラウェシでは混ざってしまい難しい」(ユリアインドネシア科学院=LIPI=ウナギ研究者)との指摘もあるなど課題は多い。
 資源を持続可能にするために生態を研究し、乱獲を防ぎながら産業化する取り組みを急ぐ。同州のウナギ研究者であるサムリオク・ンドベ氏は「賢明で厳格な管理が急務になっている」と話した。(堀之内健史、写真も)

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