【この店おすすめ】 受け継がれた母子の味 カンティン・イブ・デウィ

 南ジャカルタのブロックMスクエア地下に細長く広がる食堂街(カンティン)は、昼食時になると、おそろいの制服を着た女性会社員たちが、午後から働くエネルギーを補給しにやってくる。パサラヤ勤続11年のマヤさんは、カンティン愛用者の一人だ。お気に入りのお店は、奥にある「カンティン・イブ・デウィ」。「この店の魅力は、なんといってもオリジナルのサンバル。カシューナッツを砕いて入れているの」と薦めた。
 現在、ブロックMスクエアのあるパサール・ムラワイで創業し、13年続く老舗だ。創業者のデウィさんは3年前に引退し、現在は娘のユニさん(30)が母の味を守りながら切り盛りしている。
 食堂街はシャッターの閉まった店舗が多いが、この店の周辺のテーブルは女性客が絶え間ない。妊婦のユニさんは、少し大きくなったお腹を気にしつつ、離れたところでも客さんが来たら手際よく椅子を並べ、気配りも欠かさない。忙しそうだが「初めてだね、何がいい?」と笑顔をくれた。
 マヤさんは週に一度は同僚とともに、バワル(マナガツオ)の焼き魚を楽しむという。「おいしいし、なんといっても安いのがお気に入り」とにっこり。それぞれ一つ8000ルピアで、ご飯ときゅうりなどの野菜がついたセットにすると1万1000ルピア。さっそく、バワル・バカール(焼き魚)のセット、アヤム・ゴレンをオーダーした。
 バワル・バカールは、身は薄いが、肉はしっかりした白身魚だ。女性にはちょうどよい大きさ。トウガラシを薄くつぶしたものをのせて焼かれているが、ちょうど良い辛さだ。少しパラパラした白いご飯に合う。
 セットには必ず黄緑色をしたサンバルがついてくる。薦められた通り、サンバルを少し付けて食べてみた。一瞬口に甘味が広がるが、チャベ・ラウィットのぴりっとした辛さで涙が出て、むせた。
 「さあ、おいしいものを食べて、おしゃべりして元気になった。仕事に戻らなきゃ」と席を立つマヤさんに、ユニさんは手を振って見送った。

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