【この店おすすめ】カレー風味のナシゴレン
「ジャカルタでナシゴレンと言えばここでしょ」。オジェック(バイクタクシー)のダミさん(43)が中央ジャカルタ・クボンシリ通り脇にある、店名もそのまま「ナシゴレン・カンビン(ヤギ)・クボン・シリ」を教えてくれた。
カレーとバターの香りが漂ってくるワルン(屋台)。従業員が店先で巨大な鍋を使い、大量のナシゴレン・カンビンを一度に炒めるのが特徴で、人々を味だけでなく、目で楽しませている。調理の仕上げにカレーパウダーを豪快に振りかけたら完成だ。
2代目店長のネイン・アフマッドさんによると、開店したのは1958年。先代の父親が亡くなってもカレー風味のナシゴレン・カンビンを受け継いでいる。従業員は10人。一日に500人以上が来店し、日本や韓国、アフリカ、米国など外国人観光客も多く訪れるという。
この日も店内は満席で、店から少し離れた席も家族連れやカップルなどでにぎわっていた。クボン・シリ通り沿いに駐車スペースもあるため、車やバイクでも安心して来られる。
ナシゴレン・カンビン(2万5千ルピア)はカレー風味のパラパラのコメ。噛めば噛むほど肉汁がでてくるカンビンがスプーンを持つ手を休ませない。辛さはなく、子どもや辛いものが苦手な人でも食べられる。ダミさんはナシゴレンを口いっぱいに頬張りながら「やっぱりここが一番おいしいな」と笑顔を見せた。
ダミさんは記者が働くビルの前でオジェックの仕事をしている。記者が取材に向かう際、「今日はどこに行くんだい」と声を掛けられる。洪水やデモなど、さまざまな取材現場に一緒に向かった。時に記者が分からないインドネシア語の単語や会話の手助けをしてくれる。頼りになるオジェックの一人だ。「またいつでも、どこでも一緒について行くからな」とダミさんは言い、硬い握手を交わして別れた。(山本康行、写真も)