【この店おすすめ】自国料理をお手軽に
近年の好景気と相まって、日本を含む世界各国のレストランの進出が盛んなジャカルタ。新しいもの好きな一方、海外に出る時はサンバルは必須という人も多いインドネシア人にとって、自国の料理が食生活に占めるウエイトは高い。
そんな欲望を満たしてくれるのがこの店。週末ともなれば、行列ができ、20分、30分待つこともざらだという。
紹介者は会社員のウィナさん(34)。洋食も日本食も好きだが、やはり恋しくなるのは自国の料理。おいしいけど高い、安くておいしいけど清潔、快適でないというところが多い中、インドネシアの料理が、ショッピングモール内のこぎれいな店舗で手軽な価格で食べれるのが魅力という。その条件に合致する日本人にも知られるとある伝統店は「最近は味が落ちている」と手厳しい。
店内は木目調で落ち着いた感じながらモダンな装いだ。土曜日ということもあって、家族連れがひっきりなしに出入りする。ウィナさんは「店員がきびきびしているのも良いところです」と評価する。
サテ・アヤム(3万5千ルピア)、ソト・アヤム・レンブラン(3万2千ルピア)など、インドネシアでは定番の料理を注文する。ウィナさんの好物は、バナナの葉にご飯と魚などを入れて蒸したナシ・バカール・イカン・ペダ(3万8千ルピア)。しっとりとした歯ごたえがうまみを増長しているという。
全体的に甘いものは甘く、辛いものは辛いというはっきりした味付け。個々人の感覚次第ではあるが、日本人にはちょっと味が濃いものが多いという印象だ。カットフルーツを入れたアイスティーなどソフトドリンクの種類も豊富だが、ややこってりし過ぎか。
ただ、インドネシア人に人気なのを見るにつけ、嗜好性のローカル化が外国からのインドネシア進出には必要不可欠なのだなと再認識。パダンやバリ、スンダ、ジャワなど地方の料理はあっても、インドネシア料理はないといわれる国柄で、出身によっても好みが分かれるのかもしれない。(上野太郎、写真も)