【この店おすすめ】近所の居酒屋

　バリ島デンパサールの目抜き通り、トゥクウマールから少し中に入った所にあるワルン・タラカン。昼間は洗車専門店、閉店後の午後６時からは広々としたスペースに机を並べて和食や鍋料理を出す店だ。バリ日本語補習授業校保護者の竹村洋美さんと山田かおりさんが「家に帰る前に立ち寄ったり、友達を誘って飲みながら、おいしいものを少しずつ楽しめる居酒屋のような店」と教えてくれた。
　店は体育館のように天井が高く、風通しがいい。車が１５台は入る駐車スペースがあるのも気に入った。まず、ビールに続いて山田さんが持ち込んだ梅酒と九州の焼酎を開けた。飲みながら餃子（１万８千ルピア）、キュウリ漬け（８千ルピア）、マグロとオクラ（１万８千ルピア）、揚げ出し豆腐（１万８千ルピア）を頂いた。
　名前だけ聞けばごく普通の１品料理だが、一つ一つとても丁寧に作ってある。例えば、ぱりぱりした皮の餃子、唐辛子とバワンメラを使った風味たっぷりのキュウリ漬け、揚げ出し豆腐はナスとオクラを添えてあり、見た目にも美しい。マグロは色鮮やかで新鮮そのものだ。他にもからりと揚がったエビフライ（２万８千ルピア）や香ばしいゴマ和え（１万ルピア）を楽しんだ。
　最後は看板の鍋料理スチームボート（１人前２万８千ルピアから）で締めることにした。ベースのスープはあっさりしたチキンとピリッと刺激的なトムヤムクンの２種類から選べる。２種類同時に試したければ真ん中に仕切りの入った鍋に入れてもらう。魚や肉のバッソ、チキン、ビーフンに白菜、青菜、ニンジンなどの野菜がたっぷりで、ローカロリーの健康食だ。スープはどちらも出汁がしっかり効いている。
　最後のスープを残すのはもったいない。トムヤムクンにうどんを入れて煮込みうどんに、チキンスープにご飯と生卵を落として雑炊にした。オープンしてまだ２カ月。これから１品料理の数を増やしていく予定とのことだ。
　補習校維持会の役員でもある竹村さんも校務主事として働く山田さんもバリ人と結婚し、中学生の子どもを補習校に通わせている。２人とも普通に日本語を話し、読み書きにも全く困らない。世界を舞台に活躍する頼もしい青年に育つに違いない。（北井香織、写真も）