【ジャカルタ・フォーカス】公と路上のルールぶつかる タナアバンの露店撤去 (2013年07月26日)

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 東南アジア最大級の衣料市場、中央ジャカルタ・タナアバン。首都最大級の露天商街の間を荷役、売り子、買い物客ら雑多な人々が行き交い、「チャリ・アパ?(何をお探しですか)」の声が乱れ飛ぶ。全国で服が一番安い、昔ながらの市場だ。
 ジャカルタ特別州がタナアバンで露店の撤去を始めたのは6月初旬。タナアバンの深刻な渋滞は周辺のオフィス・官庁街にまで影響を与えている。その大本が路上を占拠する露天商だと名指しした。
 だが、露天商の頑強な抵抗が待っていた。警備隊が早朝、露店を撤去をしても昼には露天商が帰ってくる。「ディズニー映画のトム・アンド・ジェリーのようだ」(アホック副知事)。州は「公道で商売するのは間違っている」(ジョコウィ知事)という公の論理を掲げる。一方、露天商が従うのは、慣習的に続いてきた路上のしきたり。新旧のルールがぶつかる。
 子ども服を売る露天商マヌイザルさん(57)はタナアバンで30年商売をしてきた。「ブタウィ(ジャカルタ土着の民族)の古い人だけがここに場所を持つことができる」。露天商は地回りのプレマン(チンピラ)と町内会長に警備費、場所代を毎月収めているため、路上で商売する権利があると考える。マヌイザルさんは「路上は客が多い。テナントビルに入っても、賃貸料が払えなくなり破綻する」と訴える。
 州は付近の州営市場ブロックGを移転地に用意したが、露天商からは不満の声が漏れる。サッカーユニフォームの露天商ジュナイディさん(50)は「あそこの3階で商売して客が来るはずない」と吐き捨てた。ブロックGは老朽化した小ぶりの3階建て。1、2階は入居率が8割ほどだが、移転地の3階はまさしくシャッター街だ。中年男性らが興じる遊技カルトドミノの牌が卓を叩く音が響き、カキリマ(移動式屋台)の労働者が昼寝している。1階の一部は牛肉のと殺や解体所があり、服飾品を売るのにはふさわしくない。
 しかも1区画は1.5×2メートルの狭さだ。服飾卸売商のペンディさん(49)は「この店舗は小さすぎる。アナック・カンビン(山羊の子)のよう。しかも皆が嫌う高層階だ」と言った。「露天商はみな店舗を持つ金のない人たちだ。退いたら生活できなくなるから、絶対に帰ってくる」と話した。
 州は対応策を練った。ブロックGの賃貸料を無料にすること。それと同時に、ジョコウィ知事は地回りと話をつけたと明かし、来月9日を立ち退き期限に定めた。露天商はブロックGに入居登録する者としない者で割れ始めた。(吉田拓史、写真も)
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 急速に変化を遂げる首都ジャカルタの動きを詳しく報じる小欄「ジャカルタ・フォーカス」を不定期掲載します。

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