悪魔の涙を訪ねて バリ・レンボンガン島

 自撮りをしようとして崖やボートから転落……初めて聞いたときは、信じがたい事故に思えたが、ここバリでも何人かの観光客が犠牲になっている。サヌールからボートで30分のレンボンガン島南部の入り江では今月初めに46歳の中国人男性が死亡した。20メートルほどの高さの崖から誤って転落したもので、その少し前にも、命こそ助かったが2人が転落している。先週、レンボンガン島を訪れたとき、その「悪魔の涙」と呼ばれる場所に行ってみた。
 深くえぐれた石灰質の崖と打ち寄せる荒波……絵はがきのような光景をバックに写真を撮ろうと大勢の中国人観光客が崖のふちに立ってポーズを取っていた。ひときわ大きな波が打ち寄せると、どーんという地響きのような音に続いて真っ白な霧状の水しぶきが吹き上がった。涙の形に侵食した入り江に煙にも見える水しぶき、誰が名づけたのか、どうやらこれが「悪魔の涙」の由来らしい。
 「こっちこっち、あんまりふちに近づかないで!」。ガイドの男性が自撮りに夢中になっている一団に向かって大声で叫んだ。「本当に危ないんだ。少なくともこれまで4人が落ちている。気をつけて」と彼は真顔で私に言った。近くには「すべの行為は自己責任で」とインドネシア語、英語、中国語で書かれた看板が立っていた。私は、楽しそうに写真を撮り続ける彼らを遠くから見ているだけで足がすぐんだ。悪魔の涙(デビルズ・ティアーズ)は、ボートの発着地マッシュルームベイから約1キロ、バイクで10分ほどのところにある。(北井香織、写真も)

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