「夢かなえたい」 支援受け再挑戦の人も 看護師国家試験

 17日、日本各地で102回看護師国家試験が行われ、日本とのEPA(経済連携協定)に基づき日本に滞在しているインドネシアとフィリピンの看護師候補者たちが、5万人を超える日本人に交じって受験した。合格発表は3月下旬。EPAの看護師・介護福祉士候補者を継続的に支援し、当日も大阪会場の近畿大学を訪れて受験者たちを激励した海外技術者研修協会(AOTS=現・海外産業人材育成協会=HIDA)元ジャカルタ事務所長の大谷秀昭さんがインドネシア人受験者たちの様子について綴った。

 試験は午前9時から午後零時半、同2時20分から同5時50分の計7時間。大阪では近畿大学を会場に、2カ国合わせて約120人が受験した。
 試験が終了すると、長丁場の緊張と勉強から解放されたからか、会場外の廊下では受験者たちの弾けるような笑顔が見られた。午前の設問が難しかったという感想もあり、夜には解答速報に関する情報がネットを駆けめぐった。
 試験会場には、すでに合格して看護師となった先輩たちが後輩の応援に駆け付けた。東京の会場にはEPA第一陣の合格者や来日後研修から家族のように見守ってきたHIDAの金子和夫理事長も足を運んだ。
 一旦は帰国したが、再来日して受験した候補者の姿もあった。うち4人は、インドネシアの日系人を支援する福祉友の会と愛知県の偕行会の協力で、再受験のチャンスを得た人たちだった。候補者たちの日頃の努力に心を打たれ、前回から支援を開始。前回は直前研修も行い、3人中1人が合格した。今回、再受験したウランさんは「帰国後にあきらめかけた夢だったが、みなさんの温かい支援で、再び受験の機会をいただき、心から感謝している。難しかったが、精一杯頑張った」と話した。
 偕行会の関係者は「こうした優秀な人たちに対する再受験支援は、われわれだけでなくもっと多くの病院も一緒になって広げていってほしい」と支援の拡大に期待を込めた。
 
◇日イEPAに基づく看護師候補者の国家試験受験状況
 2008年7月に発効した日本とインドネシアの経済連携協定(EPA)に基づき、同年8月からこれまでにインドネシアから392人が看護師候補者として日本に渡り、これまでに合格したのは約50人。言葉の壁なども大きく、9割前後で推移する全体の合格率と比べ、まだまだ低いのが現状だ。厚生労働省は、今年の試験でEPAに基づく外国人看護師候補者の試験時間を一般受験者より1時間40分長い、7時間に延長し、問題文の漢字に振り仮名を付けることを決めるなど、徐々に改善策を講じている。原則として上限3年の滞在期間内に合格しなければ、帰国することになっており、帰国後の再就職などが課題。最近では、一旦は帰国した候補者の再試験のための渡航・受験支援などをする動きも出始めている。

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