en塾が結成5年目 総会で新旧団員入れ替え 安倍首相からも謝意

 日本を愛するインドネシア人学生が情熱を注いできた日本語劇団「en塾」が結成5年目を迎えた。en塾は26日、新旧団員が入れ替わる総会を開き、63人が入団、18人が退団した。このほど訪イした安倍晋三首相は、日程短縮で取り止めたスピーチで、被災者応援歌を歌ってきたen塾に言及し、謝意を表明。日イをつないできた学生劇団が今年も動き出した。

 「日本語を勉強するために」。en塾の入団から練習、公演を描いた短編ミュージカル「We Love Japan」で、入団を志望し面接に挑む学生を演じたジェニファー・サラさん(21)は新団員の前で、3年前の入団オーディションを振り返った。「漫画を描くのが好きで」「AKB48が好きで」。en塾に入った理由は十人十色だが、何かに夢中で日本が好きであることが共通していた。退団する団員らはen塾の思い出を台詞に乗せた。
 旧団員の最後の演技を見ていた新団員のマリア・メッタ・ウィジャヤさん(18)=ジャカルタ国立大=は中学時代から、少女漫画が好きで日本に関心を持った。大学で日本に関わることのできる活動を探しているとき、先輩からen塾の話を聞きつけ、入団を決意したという。
 劇団顧問として団員を指導してきた甲斐切清子さん(55)は、退団する団員らに「卒団証」を手渡し言葉をかけた。副団長を務めたことがあるジェニファーさんは団員を代表し、新団員に言葉を贈った。en塾で学んだことが日本語弁論大会での優勝や、神田外語大(千葉県)への留学につながったと説明。甲斐切さんから学んだ「継続は力なり」という言葉を新団員に語り継いだ。
 en塾は2009年4月、在留邦人向けにインドネシア語教室などを開くジャカルタ・コミュニケーション・クラブ(JCC)の甲斐切さんが「インドネシアの若者と何かしたい」と首都圏の大学生と結成した。年に1度、ジャカルタ芸術劇場で日本の昔話を題材にしたミュージカルを公演。ジャカルタ日本祭りや縁日祭、大学の文化祭に参加してきた。
 東南アジア歴訪で18日訪イした安倍首相は、ジャカルタで行う予定だったスピーチ「開かれた、海の恵み―日本外交の新たな5原則―」の中で、「インドネシアにTerima kasih(ありがとう)」との題で1章分を割き、en塾について触れていた。「幻」となったスピーチは、首相官邸のウェブサイトで公表されており、首相は東日本大震災の被災者応援歌「桜よ」が「日本人にたくさんの自信と、勇気を与えてくれた」とen塾と甲斐切さんに謝意を示していた。(上松亮介、写真も)

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