バリ北部に新空港 イ初、海上に建設計画 島の「南北格差」解消へ

 バリ州北部のブレレン県クブタンバハン沖の海上に「北バリ国際空港(BIBU)」を建設する計画が進んでいる。海上空港はインドネシアで初。バリ島はングラライ空港やデンパサール市などがある南部に観光客が集中してきたが、ハブ空港と物流センターの役割を担う新空港を建設し、北部の経済発展や観光促進につなげることで南北の格差を解消したい考え。

 新空港の総面積は約1060ヘクタール。最大収容利用客数は年間3200万人で、長さ4100メートルの滑走路2本を建設し、国内・国際線共に乗り入れる。物流センターや全自動無人運転車両(APM)も設置。投資総額は20億ドルで、民間投資を募る。建設は2工期に分け、着工から2〜3年での完成を目指す。
 北バリ国際空港を運営するBIBUと世界各国で空港開発を手掛けるカナダのエアポート・キネシス・コンサルティング(AKC)は22日、中央ジャカルタのホテルで会見し、バリ州のイ・マデ・マンク・パスティカ知事らが出席。BIBUのイ・マデ・マンク社長は「南北の格差是正を進めることで、バリ全体の発展につながる。そのためにはインフラ整備が欠かせない」と強調した。
 バリの空の玄関となってきたングラライ空港は、2017年の利用者数は2100万人、発着便数は14万6千便に上る。観光客増加に伴い航空機で滑走路が混雑し、上空待機時間が40分を超える航空機が増加している。大規模なリゾートや観光地の開発もングラライ空港のある南部に集中し、島の南北格差の拡大が指摘されてきた。
 そこでングラライ空港の代替空港の建設計画が始動し、14年以降、バリ島内の7カ所で空港建設の実現可能性調査を実施。用地確保のために撤去する必要がある宗教施設や住宅、農地などを調べた。
 ブレレン県では33のヒンドゥー寺院、20を超える歴史的建造物や場所、住宅1479棟、21の農地、道路などがあり、建設用地として使える土地面積は最大で600ヘクタール。いずれの土地も撤去が必要だったため、国内で前例はないが、沖合いに建設する案が浮上した。海面から高さ8メートル地点に建設する計画で、現在は運輸省からの建設許可を待っている段階だという。
 また、BIBUは空港建設に伴い、地元の漁師らを対象にした支援プロジェクトを進める。他の海域で漁業に従事できるよう援助するほか、農業や塩作りへの転職も支援する。
 AKCのシャド・シェルーン最高技術責任者(CTO)は、ハブ空港と物流拠点とする構想により、「環境に優しいだけでなく、最新技術を駆使した機能的でユニークな空港にしたい」と意気込む。空港の完成後は、新空港を中心にバリ島全体で1300の新規事業、24万人の雇用を創出し、貧困率改善や経済成長に貢献できるとしている。(毛利春香、写真も)

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