「緩やかな拡大」持続へ ことし経済成長5.2%予測 三菱東京UFJ銀  勝田支店長

 世界経済が好調に推移した2017年が終わり、ことしも世界銀行が実質経済成長率が3.1%に達する見方を示すなど堅調な伸びが期待される。三菱東京UFJ銀行の勝田祐輔・執行役員ジャカルタ支店長はじゃかるた新聞に対し、「経済成長の緩やかな拡大は持続する」と話し、インドネシア経済の成長率を前年に比べ若干伸びる5.2%と予想した。リスク要因として米国の利上げなど外部環境による影響を挙げ、「ルピア安に動くなど、金融市場が不安定化する可能性について注視する必要がある」と指摘した。 

 勝田支店長は「16年は貿易が停滞、世界経済全体が低迷した。後半から資源価格上昇を背景に輸出が回復、17年の貿易復調につながった。インドネシアでも輸出が好調で前年比2桁成長だった」と振り返る。
 一方で、ことしについては石炭など一次産品の価格が「17年ほど対前年比で上昇することは考えにくい」という見通しを話し、慎重な見方が必要だとした。
 国内総生産(GDP)の5割以上を構成する個人消費については「伸び率が前年比5%程度でもう少し元気になってほしいという意見もあるが、底堅い」と話し、伸びている分野として運輸や通信、外食、宿泊といった分野を挙げた。「物価や雇用環境は落ち着いており、安定して拡大すると思われる」と語る。
 17年安定していたインフレ率はことしも通年で4.2%の上昇幅と予想。ここ1年の変化としては「住宅・電気・ガス・燃料」がインフレの構成要因になりつつあると指摘、現政権のエネルギー補助金削減により消費者が影響を受けていると分析する。
 17年は8、9月の2カ月連続で政策金利を引き下げ、景気刺激を図ったが、「米国が金融引き締めに転換しており、ユーロも同様の状態」という現状がある。「ルピアが下落しインフレ圧力が強まり、個人消費に悪影響を与えることを中央銀行も警戒している。金利操作による景気浮揚策は17年に比べ、選択肢として限られてくる」と話し、別の策として頭金規制の緩和などもあり得るとした。
 日系企業のインドネシアへの投資については相談件数が増えているという。「不動産や住宅、化学などの分野に動きがある。投資意欲自体は衰えておらず、内需を期待した投資は進んできている」。国全体でも17年後半にかけて、設備・装置向けの投資が増えるなど動きが出てきたという。
 ことしの経済成長率をアジア開発銀行(ADB)や世銀予想の5.3%を下回る5.2%と予想。「完全復活とまでは言えないが、復調の兆しが出てきている。潜在的な可能性を考えると、6〜7%程度成長する力はある。消費だけではなく、投資が引っ張る経済が望ましい」と話し、「次世代の産業化」がインフラ整備に伴って進んでいくのが好ましいという見方を示した。(平野慧、写真も)

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