初の国立天文台建設へ 東南ア最大の口径3.8メートル 日本製望遠鏡 ティモール島 (2018年01月03日)

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 国内初となる国立天文台の建設が2018年半ば、東ヌサトゥンガラ州ティモール島クパン県のティマウ山(1740メートル)で始まる。本格的天文台の建設は、1928年にオランダが設置したボスカ天文台(西ジャワ州バンドン県)以来、約90年ぶり。2020年に観測を始める。望遠鏡は京都大が中心になって開発、日本で製造される最新式。口径3.8メートルは東南アジア最大だ。18年夏ごろには、同タイプの望遠鏡を使った観測が日本国内で一足先に始まる予定で、20年以降は日イによる相補的観測が可能になる。           

 正式名称は「ティマウ国立天文台」。標高1317メートル、東経123度59分、南緯9度40分に位置する。晴天率が7割と高く、光害や大気汚染の影響がほとんどないことから建設地に選ばれた。世界的にも珍しい「赤道付近の南半球にある天文台」で、南・北両半球上にまたがる広い天域が観測できる。
 建設費は約3千億ルピア。事業の中核となるインドネシア国立航空宇宙研究所(LAPAN)のトマス・ジャマルディン所長(55)は「赤道付近にあるため、北と南の空をともに観測できる。国内外のさまざまな機関、大学との共同研究が活発になるだろう」と話す。
 設置される光学赤外線望遠鏡は日本の最新技術が生かされており、惑星の形をとらえることや突発的に発生した天体現象も観測することができる。小さな鏡18枚を合わせた3.8メートルの口径は赤道付近に設置された望遠鏡としては世界最大級となる。
 開発を手がけた京都大学理学研究科の栗田光樹夫准教授(41)は「地球上で最も広い範囲を観測できる4メートル級の望遠鏡になることは間違いない。マゼラン星雲や天の川銀河の中心など、日本では観測できない宇宙をインドネシアからは観測できる」と説明する。
 同タイプの望遠鏡は岡山天体物理観測所(岡山県浅口市)にも設置され、18年夏ごろから観測が始まる。同じ機材で日本とインドネシアが南北両半球をカバーし合うことについて、同准教授は「両国による相補的な観測が期待される。望遠鏡だけでなく観測装置も同じものを使って、より高精度なデータを取得できるだろう。最近話題の重力波源も、互いに協力して検出できるかもしれない」と期待する。
 新天文台の建設プロジェクトには、ボスカ天文台を所有するバンドン工科大(ITB)や地元東ヌサトゥンガラ州クパン市のヌサ・チュンダナ海洋大学、同州クパン市、クパン県も協力する。同県には、宇宙について学べる「宇宙科学センター」や新天文台の管理事務所を新設する。さらに、20年以降は、敷地内に太陽観測用の望遠鏡、電波望遠鏡なども併設する。全体の完成は27年を目指す。(上村夏美、16面に関連)

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