「輸出力、まだ伸びる」 元BII頭取・只野さんに聞く 来年の経済展望 (2017年12月29日)

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 ことしのインドネシア経済は堅調に推移したが、目標とした実質経済成長率5.2%には届かないことが予想される。地場系大手銀行のバンク・インターナショナル・インドネシア(BII)頭取を務めた後、金融コンサルタント、JCヌサンタラ・インターナショナルに所属し、延べ20年以上日系企業へのアドバイスを続ける只野宏さんに来年の見通しを聞いた。

 ——ことしの状況は。
 経済の状況はだんだん好転してきた。ただ、もう一段輸出力を伸ばす取り組みを期待したい。国内総生産(GDP)を構成するのは「投資」と「消費」、「輸出マイナス輸入」だ。現在は物価とGDPが共に上がらず、輸出の伸びも十分ではない。人口比で考えると、もっと成長が期待できる。
 戦後日本は輸出産業を伸ばすしか国家を成長させられない状況で、輸出前提の製造業を伸ばしてきた。一方、インドネシアは資源を輸出すればある程度の経済成長ができた。その構造から脱しきれていない。資源価格は回復しているが、石炭が1トン当たり120ドルの値がついた時期と比べるとまだ低い。輸出が増えないとドルが入ってこず、輸入もできない。
 ——自動車産業の成長は。
 当面は年間販売110万台程度で推移するだろう。外貨が逃げるパニックを防ぐために、この国は外貨準備高を一定以上常に持っていなければならない。自動車の部品など高付加価値製品の輸入を抑える政策をとることも考えられる。
 政権は自動車を買う一定層ではなく、貧困層対策に目を向けている。彼らの不満が爆発することを恐れている。
 ——政府のインフラ投資をどう考えるか。
 インフラ投資はいわば「劇薬」だ。日本が事業可能性調査(FS)に参加しているジャカルタ〜スラバヤ間(約750キロ)の鉄道の準高速化構想は、7千億円程度の投資になるのではないか。技術などハードの部分を日本から取り入れ、収入のある程度を日本に流してもGDPの引き上げ効果と地場企業の成長、雇用の拡大につながる。
 ただ、7千億円の借り入れが残る。10年前と比べて公的と民間両方を足した債務は増加している。(日本と一緒に取り組む事業については)金利の低い長期のローンを組む流れがある。
 ——来年は企業への徴税は強まるか。
 財務省は外資というよりは、地場の中小、零細企業への徴税を強化していっている。そういう意味で日系企業は脱税ではなく、税法上の解釈の違いを突っ込まれる可能性がある。対策が必要になってくるだろう。(平野慧、写真も)

「インドネシアは伸びる余地がたくさんある」と話す只野さん
「インドネシアは伸びる余地がたくさんある」と話す只野さん

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