「生活改善運動」を紹介 イ人日本研究者が本出版 「社会づくりの参考に」

 インドネシア大学(UI)大学院で日本研究の講師を務めるスシ・オンさんがこのほど、太平洋戦争前〜1970年代に日本で行われた「生活改善運動」についての本「セイカツ・カイゼン」を出版した。16日には、南ジャカルタ・スミットマスビルにある国際交流基金ジャカルタ日本文化センターで出版記念講演を行い、戦前〜現在に至る日本の取り組みを紹介しながらインドネシアにおける生活改善の必要性を説いた。
 記念講演後、じゃかるた新聞の取材に応じ、「日本にもかつて、道路にごみが落ちているなど現在のインドネシアと同じような時代があり、生活改善運動など努力の末に近代化を遂げた。インドネシア人が先進的な社会をつくる上で参考にできる」と執筆の動機を説明。
 さらに「インドネシアで社会改善を行おうとすると、お祈りなど精神的な方向へ向かってしまう。日本(の生活改善運動)のように衣食住など、はっきりと具体的なことを明示していくべき」と思いを述べた。
 スシさんは1988年に東京外国語大日本語学科に入学。その後、一橋大社会学研究科で日本の社会改造の歴史に関する研究を続け、2000年に博士号を取得した。02年の帰国後は、テレビ局勤務を経て、09年からUIなどで日本研究に関する講義を受け持ってきた。
 本執筆のきっかけは、13年にインターネットで偶然目にした生活改善運動に関する学術論文だった。
 「これはインドネシアでも役に立つ」と思い立ち、14から15年にかけて訪日して日本各地で同運動に関する資料を収集。「インドネシアにおける日本研究が実際に社会の役に立つことを示したい」と、16年から約1年間かけて執筆に取り組んだ。
 「セイカツ・カイゼン」はインドネシア語で、全240ページ。5万9800ルピア。出版社はエレックス・メディア・コンプティンドで、グラメディアなどの書店やグラメディア・コムで販売されている。(坂田優菜、写真も)

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