ベルリンの壁を展示 カリジョド公園 27年経て統一を表現 芸術作品「限界を貫く像」

 北・西ジャカルタ両区にまたがるカリジョド公園に26日、ベルリンの壁の一部が設置され、芸術作品として生まれ変わった。壁はインドネシア人画家・彫刻家のトゥグ・オステンリックさん(67)が壁崩壊翌年の1990年に購入、西ジャワ州デポック市で保管してきた。インドネシアに持ち込まれてから27年を経て、「統一」を表現するシンボルとして日の目を見ることになった。

 トゥグさんから同公園に寄贈された壁は、「限界を貫く像」という作品として、鉄が素材の彫刻とともに展示された。ジャカルタ特別州のジャロット知事や、在インドネシア・ドイツ大使館のミハエル・フライヘル・フォン・ウンゲルン・シュルンベルク大使らも足を運び、設置作業を見守った。
 ジャロット知事は「ベルリンの壁は統一のシンボルで、パンチャシラ(国家5原則)の考え方に適応している。私たちは異なるからこそ、一つになることを優先しなければならない」と話した。
 同大使館によると、東南アジアでベルリンの壁が設置されている国は、インドネシアだけという。
 トゥグさんは、統一前の西ドイツで芸術について学び、修士号を取得。インドネシア帰国後の89年、ベルリンの壁が崩壊したことを知り、歴史的な建造物の壁を何とか手に入れたいとドイツを再訪した。
 翌90年、ドイツ政府公認の壁販売会社を通じ、縦360センチ、横120センチ、厚さ20センチ、重さ約1.5トンの壁4枚を購入し、コンテナでジャカルタまで運んだ。現在の価値は推定623億ルピアという。
 購入当時、芸術作品にする構想をひらめいたトゥグさん。知人らからは「ベルリンの壁とインドネシアに何の共通点があるのか」と質問されるばかりで、共感してくれる人はほとんどいなかったが、「多様で異なる民族や宗教、言語などから成るインドネシアには常にベルリンの壁がある。多くの人に受け入れられ、見てもらえる場所をずっと探してきた」と話した。(毛利春香、写真も)

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