デノミ法案を提出へ ルピア単位切り下げ 財務省 年内に国会審議開始

 スリ・ムルヤニ財務相は18日、ルピアの単位を3桁切り下げるデノミ法案を国会に提出する方針を明らかにした。年内の国会審議開始を目指すが、中銀はデノミ実施には7年ほどの準備・移行期間が必要としている。

 スリ財務相は18日、国会第11委員会(開発計画、金融など担当)と2017年国家予算修正案について協議し、「政府はデノミ法案を提出する用意がある。国会法務局に伝える」との方針を明らかにした。
 3大格付け機関がインドネシアを「投資適格」と認めたこと、国際収支などが改善していることなどのプラス要素を挙げ、「経済状況は安定、ポジティブな状態にある」との認識を示し、現在がデノミに踏み切る好機だと強調した。
 しかし、スリ氏自身が昨年末に言及した「デノミの完全導入に7〜8年必要」との見解を踏まえ、「移行には長い時間がかかる」と述べ、あらためて慎重姿勢を示した。
 同席した中銀のアグス・マルトワルドヨ総裁も、過去2年間のインフレ抑制、5%以上の経済成長、ルピア安定などから「1千ルピアを1ルピアにするには絶好の時期だ」との見解を表明。ただ、「年内に議論し、承認されたとしても、実行までには約7年のプロセスを要する」とし、2年間を準備期間に充てた場合、20〜24年は移行期間とし、その次の段階として完全導入されることになると説明した。
 財務省と中銀は10年ごろからデノミ議論を活発に行ってきた。13年、安定したインフレ率と為替相場を背景に、単位を3桁切り下げるデノミを検討したが、米国の量的金融緩和縮小の影響もあり断念した。しかし、アグス総裁は昨年末、「17年の優先法案の一つ」と話すなど中銀のデノミ推進論は変わっていない。
 日本の大手証券会社の投資アナリストは「為替の変動が少なくてもルピアの安定性については不透明だと感じる投資家も多い。歴史的に通貨が脆弱な国であり、デノミで価値が揺らぐ前に売りに走る可能性もある」と指摘した。(平野慧)

デノミ

 デノミネーションの略で通貨単位の変更を指す。新旧貨幣の併用期には、財・サービスも原則価格併記の措置が取られるため、理論上は通貨の購買力は変わらないが、便乗値上げなどで経済が混乱した例もある。政体の変化などが原因の急激なインフレ後に実施されるケースが多い。新貨幣の発行、流通による設備投資などで経済効果が生まれる面もあるが、信用が揺らいで為替相場で価値が下がったり、国によっては新旧貨幣の交換を制限する政策を取ったりすることがあり、いわゆる「紙くずになる」と連想されやすい。

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