乗車運賃  格差是正へ 上限・下限を設定 オンラインタクシー

 オンライン四輪タクシーと既存タクシーの乗車運賃格差を是正するための上限と下限を盛り込んだ運輸大臣令(2017年26号)が1日に施行した。安価な運賃と手軽な利用方法を売りにしてきたオンラインタクシーに対する運賃の規制は初めて。地場系ゴジェックは3日から新運賃を設定し、規定に準じたサービスの運営を始めた。 

 ブディ・カルヤ・スマディ運輸相は2日、「すでに身近な存在となったオンライン配車サービスを、既存タクシーや他の公共交通と平等に共存させたい」と狙いを語った。ことし3月、既存公共交通機関の運転手から「乗客を不当に奪われている」などと不満が噴出し、オンラインタクシーの運転手に対する襲撃が頻発。同月末に大臣令を発令し、地域ごとの運行台数や運賃規制、車両登録証(STNK)の法人名登録の義務化などを規定。対立の鎮静化を図った。
 運賃設定では、各地方首長とジャボデタベック(首都圏)は首都圏交通管理庁(BPTJ)が決定権を付与され、3カ月の猶予期間が与えられていた。
 規定されたのは1キロ当たりの乗車運賃。スマトラ、ジャワ、バリの3島は下限が3500ルピア、上限が6千ルピア。カリマンタン、スラウェシ両島とパプア、ヌサトゥンガラ、マルクの3地域では下限が3700ルピア、上限が6500ルピア。
 ウーバーなどの事業者は、利用が少ない時間帯に格安運賃や割引プロモーションを提供する場合があり、下限を設定することで運転手の最低限の取り分を確保。朝夕の混雑時には、運賃が平時の数倍になることもあり、上限を設定することで消費者を保護する。
 ゴジェックは3日付けで大臣令に基づいた新運賃を設定した。首都圏の運賃では、スディルマンやタムリン、ガトット・スブロトの3大通り周辺の渋滞が深刻な区域を新たに混雑地域に指定し、時間帯も細分化。上限設定の6千ルピアを午後5〜9時の運賃に適用した。
 2016年末時点では、初乗り2.7キロまでが4千ルピア、以降1キロごとに1500ルピアだったが、運賃改定で下限設定を適用。同2.85キロまでが1万ルピア、同3500ルピアに値上げした。午前6〜8時と午後5〜10時の混雑時は、同2.35キロまでが1万ルピア、同4250ルピアになった。
 既存タクシー大手ブルーバードの乗車運賃と比べると、平時は割安だが、混雑時はほとんど変わらない運賃で利用できる。
 マレーシア系グラブの広報は、3日時点で運賃改定はなく、今後大臣令に即した運賃を設定するとした。
 ジャカルタでは配車アプリに登録している乗用車が約2万台あるが、義務の車検を通過した台数は8163台と半数に満たず、新たに定められたシールを貼っている車両もまだない。ブディ運輸相は「運転手だけでなく、市民にも教育が必要」と述べ、大臣令は6カ月ごとに協議し、今後も必要に応じて改正していく考えを示した。(中島昭浩)

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