国内過激派が合流 フィリピン南部へ ポソの残党JAD構成員

 イスラム過激派と警察と軍の交戦が続くフィリピン南部にインドネシアの過激派が流入している。昨年1月のサリナデパート前爆破テロ事件以降、警察・軍は合同で中部スラウェシ州ポソの過激派掃討作戦を展開。追い詰められた残党らがフィリピンに渡り、過激派組織イスラミック・ステート(IS)の東南アジアの拠点建設に参加しているとの見方を強めている。

 国家警察によると、フィリピン南部ミンダナオ島の南ラナオ州マラウィ市にいるインドネシア人過激派戦闘員は38人。フィリピン警察はこのうち7人をテロリストとして指名手配している。
 ティト・カルナフィアン国家警察長官は、この7人はサリナ前爆破テロ事件の実行命令を出したとされる、過激派組織「ジャマア・アンシャルット・ダウラ(JAD)」指導者のアマン・アブドゥラフマン受刑者の信奉者だと指摘。「IS支持者のアマン受刑者の息のかかった戦闘員はポソにISの本拠地を作ろうとしていたが、失敗してフィリピンへ逃亡した」との見方を示した。
 ポソでは山間部を拠点にする過激派組織「東インドネシアのムジャヒディン(MIT)」が警察への報復テロを繰り返したが、MIT指導者のサントソ容疑者は昨年7月、治安部隊に射殺された。
 これまでの調べで、サリナ前爆破テロ事件で使われた自動小銃M16がフィリピン南部から持ち込まれたことが判明している。バンテン州チレゴンを拠点にするJADの構成員が、ロイス死刑囚(豪州大使館爆弾テロの首謀者)の指示で武器を調達した。また、西ジャワ州ブカシ県のJAD構成員がマレーシアと国境を接する北カリマンタン州ヌヌカンで、フィリピンから流入した武器を購入している。
 紛争分析政策研究所(IPAC)のシドニー・ジョーンズ代表は週刊誌テンポに対し、5月24日に東ジャカルタのカンプンムラユ・バスターミナルで自爆テロを起こしたJAD構成員もフィリピンへ合流していると指摘、「IS本部から、シリアに聖遷できなければフィリピンへ向かうよう指示が出ている」という。
 米国防省は昨年1月、JADを特別指定国際テロリスト(SDGT)に指定した。ティト長官は「ISの拠点がロシアや欧米諸国に圧力を掛けられた結果、分散化が進んでいる」との見方を表明。世界各地に散在するIS支持勢力に決起を促し、存在を示すための攻撃を仕掛けるよう命じていると指摘した。
 過激派構成員の多くは小舟で海を渡って上陸するため、インドネシアとフィリピン、マレーシアの3カ国は19日から、ミンダナオ島西部のスールー海で合同海上パトロールを始め、密入国者を摘発する方針だ。(中島昭浩)

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