インドマレットで和食弁当 2万ルピアが生命線 濃い味付けでヒット 和食さと 弁当開発者の中野さん

 コンビニ業界2強の一角、インドマレットで日本人が和食弁当の開発に奮闘している。約3年間で開発した商品は合計約300品目。現在は月に約5万食販売している。開発当初から携わってきた和食さとの中野智喜さん(60)に開発の苦労話をきいた。 
 財閥サリム・グループのインドマレットが「コンビニで和食弁当を売りたい」と、和食さとに持ちかけ、提携したのは2013年。和食弁当の開発が始まった。天丼や鮭弁当、やきとり弁当など日本でもなじみのあるメニューをコンビニに送り出した。 
 「結果は大惨敗だった」。当初販売した価格は3万〜3万5千ルピア。インドマレットを利用する庶民層に受け入れられなかった。 
 現時点で2万5千ルピアを超えると、ぱったり売れなくなる。「インドマレットを利用するお客様は価格に相当敏感」。ハラル対応の弁当に切り替え、2万ルピア前後の弁当に開発路線をシフトさせた。 
 当初は商品開発後、インドマレットの役員が味付けをチェックする作業が続いた。何度も「ダメ出し」をくらった。役員から承認を得られるころには、日本よりも濃いめの味付けに。しかしそれが売れた。「揚げ物はやはり売れる」。チキンカツ弁当が最大のヒット商品となった。 
 和食弁当のラベルには、中野さんの顔写真が貼られ、店頭に並んでいる。「(ラベルは)インドマレットの提案。日本人が作っている弁当ということをアピールしたかったんだと思う」と苦笑い。 
 3年間で、弁当や店頭で調理する商品を含めると開発商品は約300品目。うどんやラーメン、焼きそば、お好み焼き……。不発で店頭から消えていった商品のほうが多い。日本風の味付けのカレー商品も失敗に終わったが、「味になじんでいないだけではないか。いずれ再挑戦したい」 
 現在、インドマレットの店舗は全国に1万店舗を超える。インドマレットの利用層は近い将来、インドネシアの巨大消費を支える中心になる。まだ和食弁当の販売店舗は限られているが、全店で販売できるようにしたいと意気込む。 
 約4年の勤務を終え、中野さんの帰国が決まった。「食文化は徐々に浸透してくるもの。インドマレットの弁当で初めて和食に触れるインドネシア人も多いはず。(弁当が)日本食を好きになるきっかけになれば」と笑う。後任が和食弁当の開発を続ける。(佐藤拓也、写真も)

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