オランダ・韓国と調査 巨大防潮堤 年内着工目指す

 政府は北ジャカルタ沖に建設計画がある巨大防潮堤(ジャイアント・シーウォール)の事業化調査(FS)を、韓国の国際協力団(KOICA)、オランダ政府と共同で実施する。バスキ・ハディムルジョノ公共事業・国民住宅相がこのほど地元メディアに方針を示した。関係閣僚は同防潮堤の年内着工を一つの目標に据える。

 バンバン・ブロジョヌゴロ国家開発計画相やバスキ・ハディムルジョノ公共事業・国民住宅相ら関係閣僚は9日、海事調整省でルフット・パンジャイタン海事調整相と巨大防潮堤などを含む首都統合沿岸開発(NCICD)について話し合った。NCICDは、巨大防潮堤以外に17の人工島や治水対策が含まれる政府計画。
 バスキ公共事業・国民住宅相によると、昨年8月にインドネシア政府は韓国、オランダと覚書を締結。韓国はFS調査費用に950万ドルをかけ、水中や土壌の調査などを行う。オランダ側も850万ユーロをFS調査に充てる。ルフット海事調整相は「1〜2カ月以内にFS調査を完了させたい」と述べた。
 ジャカルタは地盤沈下が進み、年間で平均7.5〜12センチほど沈んでいると指摘される。約30年後の2050年には現在よりも5メートルほど沈み、北ジャカルタの一部の居住区域が水没する懸念もあり、政府は以前から巨大防潮堤の建設で対策を講じる考えを示している。現在計画が浮上するのは長さ20キロの海岸部の防潮堤。将来的に西ジャワ州ブカシからバンテン州タンゲランまでをつなぐ計画。
 FS調査に参画予定の韓国とオランダは、両国ともに自国で防潮堤を建設してきた実績があり、これまでもインドネシア側に売り込みをかけていた。オランダのルッテ首相は昨年11月に来イした際も防潮堤の建設で協力を持ちかけていた。
 ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領はこれまでにオランダ首相との首脳会談で巨大防潮堤の早期実現を要請。アホック・ジャカルタ特別州知事=知事選出馬で休職中=は過去に両国を訪れ関係施設を視察している。(佐藤拓也)

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