教育の心配なくしたい 東ジャワ・ジャパンクラブ 河野剛会長に聞く

 会員574人、49社が参加している東ジャワ・ジャパンクラブ(EJJC)。スラバヤ市を中心に約800人の邦人がおり、同市とその周辺には約150社の日系企業がある。ツナ缶を製造・輸出しているアネカ・ツナ・インドネシア社長で、EJJCの河野剛会長(45)に話を聞いた。

 「教育の心配がないようにしたい」。EJJCは現在、スラバヤ日本人学校(SJS)の維持・管理に最も力を入れている。シロアリ被害などで老朽化していた幼稚部が使用する建物の屋根を、3月から取り替える。資金は国の補助や会員の寄付でまかなった。
 「SJSは1995年ごろに現在の場所に移動した。日本の感覚ではまだ20年ほどと思うかもしれないが、こちらで建築された校舎は老朽化も進んでおり5〜10年の長期的な目線で見ると、今後必ず校舎の再建が必要になる」と話す。
 同地ではメーカーやサービス関係など日系企業の進出は増加傾向にあり、SJSに通う子どもも横ばいだった40〜50人から、近年では過去最高となる90人以上まで増加した。「家族と一緒に来る駐在員にとって子どもの教育は大きな心配事の一つ。『学校は任せておけば大丈夫』という状況にしたい。学校運営に力を入れることは、間接的に駐在員のためにもなる」と話した。

■道路整備が急務

 同州パスルアン県やグレシック県の工業団地などには日系企業の工場が多く、また最近ではモジョクルト県ヌゴロ工業団地でも現在は10社ほどだが、工場が増えつつあるという。
 一方、「ジャカルタとその周辺地域と人件費はほぼ同じ額にまで高まってきている」という。東ジャワで最も人件費が高いパスルアンでは、月額の最低賃金は328万ルピア。今月には産業別賃金の9%増が決定し、合計金額は358万ルピアになるという。
 また東ジャワ州でのインフラ事情は少しずつ改善しているが、ジャカルタ〜スラバヤ間の鉄道の準高速化構想については「鉄道より道路整備を急いでほしい」と指摘する。河野さんの企業では、ジャカルタからトレーラーで3日間かけて商品を運んでいるといい「さすがに長すぎる。まだうちは運べる商品なので良いが、例えば冷凍・冷蔵が必要な商品などでは道路での短時間の輸送が必ず重要となってくる」と話した。

■引き継ぎが重要

 スラバヤ市内では大型のモールが完成したり、日系の店が進出するなど、変化していく町や日本の企業の進出などを日々感じるという河野さん。一方、治安について「決して良いとは言えないし、少し平和ボケしてしている部分もあると思う。スラバヤでもテロ計画などがあり、ジャカルタもスラバヤも潜在的な危険は同じ。日本人会として周知徹底につとめている」。
 今後は会員同士の親交を深めるだけでなく、SJSの運営・維持など長期的な目線での活動も必要だと語る。「(会員の)人が変わるリスクは大きい。うまく引き継ぎをしていかなければならない」と語った。(毛利春香、写真も)

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