3月末に初飛行 来年、本格事業へ 国産初の小型プロペラ旅客機

 国営航空機メーカー、ディルガンタラ・インドネシア(DI)が開発中の新型小型プロペラ機「N219」を3月末に初飛行できる見通しを示した。順調にいけば2018年に本格生産を開始、国産初の旅客機の事業化につながる。14年以降、国家事業として政府が力を入れており、島しょ国の島々をつなぐ輸送機として期待がかかっている。

 N219はインドネシア人技術者によって設計されたN250の後継機。N250は、ハビビ元大統領らの主導で計画を進め、1995年8月に初飛行したが、97年のアジア通貨危機の影響で頓挫し、本格的な生産開始にこぎつけられなかった。
 新型N219は19人乗りでN250より小型。離島やへき地を往来できるように設定しており、旅客や貨物輸送、避難用のほか、パトロールなどにも利用できるよう設計している点も売りだという。欧州エアバス・グループなどが技術提供している。
 競合は中国の小型プロペラ機「Y12」やカナダの「DHC6」などが該当する想定だが、ディルガンタラのアンディ・アリシャバナ開発技術部長は「輸送能力などで勝っている」と期待を込める。
 新型N219の試作機が初公開されたのは15年12月。当時の予定より納入開始時期はずれ込んでいるが、格安航空会社(LCC)ライオンエアなどが受注に動いている。価格は500万ドル程度を見込む。
 20人規模を輸送する小型プロペラ機の需要は今後増加が見込まれる。海洋国家構想の下、離島をつなぐ航路が増加しているためだ。地元紙によると、小さな離島をつなぐ航路は14年に比べ、15年は約3割増加しており、その分小型プロペラ機の利用は増える。政府としては、インドネシアに限らずアジア諸国での展開も視野に入れたい考えだ。
 14年から国の予算が付き本格的に国家事業に昇格。ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領も離島の交通の便を容易にできる小型プロペラ機の国産化に期待を寄せており、就任直後に西ジャワ州バンドンの同社工場を視察した。同州マジャレンカのクルタジャティ新空港建設計画に伴う同社移転案もあり、大統領はハビビ氏や同社幹部らと頻繁に協議している。(佐藤拓也)

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