激痩せのマレーグマ 餌を乞う姿 波紋呼ぶ バンドン動物園 動物保護団体が抗議

 西ジャワ州バンドン動物園の痩せ細ったマレーグマが波紋を呼んでいる。肋骨(ろっこつ)が浮き出た姿で来園者に餌を乞う様子がインターネット上で世界に拡散。動物保護団体などの抗議を受け、環境林業省は22日までに調査チームを設置、対策に乗り出した。 

 「激痩せ問題」が明らかになったのは、2016年5月。野生動物取引を監視・調査するインドネシア国内の非政府組織(NGO)、スコーピオン財団の報告だった。財団の調査員がバンドン動物園を訪れたところ、痩せ細って自分のふんを食べたり、来園者が投げ入れたジャンクフードを食べたりするマレーグマの姿を発見、ユーチューブで動画を公表した。マレーグマは全11頭いたという。
 同財団は、「自分のふんを食べるのは、非常に飢えていて、食べるものが何もない状況でしか考えられない」とする専門家のコメントと共に声明を発表し、インドネシア政府に動物の保護や園の閉鎖を求めた。同財団はその後も、動物愛護家らと共に閉園を求める抗議活動を展開してきた。
 一方、動物園側は「マレーグマに問題はない」との姿勢を貫いてきた。園の広報担当者は地元メディアに「餌は十分やっている」「痩せているからといって不健康とは限らない」などと説明。同財団の主張には「(インドネシア政府の)自然保全局がマレーグマを調査したが、全頭が健康と診断された」と反論したという。
 スコーピオン財団は1月8日にも、再調査のため園を訪れたが、マレーグマは痩せたままで、飼育舎も汚かったという。これと前後して、英デイリー・メールなど海外メディアが問題を報じると、波紋は一気に世界へ広がった。
 これを受け、インドネシア政府も対策に腰を上げた。20日には、財団から報告を受けたシティ・ヌルバヤ環境林業相が、マレーグマの調査チームを設置したと発表。チームには獣医も含まれ、動物の健康状態や飼育環境も調査中という。
 同環境林業相は、23日にも会議を開き、調査結果に基づく対策を決定するとしている。
 バンドン動物園は1933年に開園。園では2016年5月にも、雌のスマトラゾウの死が物議を醸した。1年間、獣医不在の状態が続き、病気のゾウを放置した疑いから園を非難する声が高まった。(木村綾)

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