風物詩「パルセル」 例年より客足まばら

 クリスマスや新年向けのパルセル(贈り物の詰め合わせ)の販売が終盤を迎えている。例年、お世話になった人へのギフトを買い求める人々でにぎわうパルセル販売の名所、中央ジャカルタ・チキニ。店主らは「ことしは客足がまばら」と口をそろえる。
 26日午後、チキニ花市場の横に、パルセルを売る露店約15店が軒を連ねていた。かごや箱に菓子や食器を詰め合わせ、包装した商品が所狭しと並ぶ。年末やレバラン(断食月明け大祭)にだけ見られる風物詩だ。
 ウディン・シャイフディンさん(48)の店では、250万ルピアから1800万ルピアのセットを販売する。普段は二輪タクシー「ゴジェック」の運転手だが、この時期だけパルセル売りに転身。チキニに店を出して30年になる。
 年末の営業は28日まで。近年、この時期は2週間で150〜200セットを売り上げているが、15〜26日に売れたのは80セット。「場所が悪いのかも」と漏らした。
 7月のレバランまではチキニ駅前の車道沿いに出店していた。この通りは毎年、パルセルを売る露店で埋め尽くされていたが、「通行の妨げになる」と、ことしのクリスマスから州政府が販売を禁じたという。
 さらに3年前までは、チキニ駅の地下がパルセル売りの名所だった。2013年に州が全店を強制撤去。店主らは移動を余儀なくされた。
 チキニ駅向かいにある「チキニ・ゴールド・センター」。伝統市場(パサール)の一部を取り壊し、13年に建てられたこのショッピングセンターの1、2階にはパルセルや贈り物用の箱などを売る約50店が入居する。
 「客足が減っているのはこっちも同じだよ」。そう漏らすムハンマド・アリさん(46)は3年前、チキニ駅地下から移ってきた1人だ。
 26日午後は、時折降る雨の影響もあってか、エアコンの効いた同センターのパルセルコーナーは、花市場横の露店と比べると、買い物客でにぎわった。店が多い分、品ぞろえも豊富。アリさんの店では12月、約400セットを売り上げたという。
 ただ、駅地下時代に月250万ルピアだった賃料は、同センター移転後、2.4倍の月600万ルピアに跳ね上がった。ここ数年、オンラインでパルセルを買う人も増えた。「駅時代はお客さんがたくさん来て、いつもにぎやかだったな」とため息をついた。(木村綾、写真も)

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