防災意識 世界で共有 世界津波の日シンポジウム 高校生が成果報告

 ことし初めて迎えた「世界津波の日」(11月5日)の関連行事を総括し、津波防災の啓発につなげるシンポジウムが15日、中央ジャカルタのフェアモントホテルで開かれた。11月、高知県黒潮町で開かれた「高校生サミット」に参加した日本とインドネシアの高校生計5人も駆け付け、サミットの成果を報告、防災意識を新たにした。

 シンポジウムでは、東アジア・アセアン経済研究センター(ERIA)の西村英俊事務総長が開会を宣言。開会式に出席したユスフ・カラ副大統領は、「津波が最も多いのは日本だが、(津波の)犠牲者が最も多いのはインドネシア。私たちが一緒に力を合わせて、一般国民に知らしめ、災害が起きた時の準備体制を整えることがとても重要だと思う」と述べ、防災面での連携を訴えた。
 「世界津波の日」は2015年12月に国連で採択され、以来、世界各地で啓発イベントが行われてきた。11月25、26両日には、世界30カ国362人の高校生が黒潮町に集まり、「『世界津波の日』高校生サミット」が開催された。
 日高高校(和歌山県)の中井充歩さん(16)もサミットに参加した一人。シンポジウムで登壇し、「自然災害はいつでも起こり得るし、事前に予測できない。でも、経験を生かして備えることはできる」とサミットの意義を語った。
 バンダアチェ第1高校(バンダアチェ市)のムハンマド・ハイカル・ラジさん(17)はサミットに合わせ、「稲むらの火」の逸話で知られる和歌山県広川町を訪問した。
 04年のスマトラ島沖地震・津波で両親と兄を亡くしたムハンマドさんは、1854年の安政南海地震の際、稲わらに火を付けて住民を高台に誘導し、津波から救った豪商・浜口梧陵の話に感銘を受けた。「若き(津波防災)大使として、浜口梧陵の精神を私たちの地域で広めていきたい」と話した。
 サミット開催地の黒潮町は2012年3月、南海トラフ地震の被害想定で全国最大となる34メートルの津波想定高を突きつけられた。あまりの高さに「避難はあきらめた」との声が聞かれる中、大西勝也町長は住民と千回を超える対話を重ね、「徹底的な防災」に取り組み続けてきた。
 サミットで議長役を務めた、大方高校(黒潮町)の今井恋さん(15)と今村琳花さん(16)はこの日、サミットの成果を報告。今井さんは「もし地震が起きて津波が黒潮町を襲ったら、私たちが率先して地域で助け合い、被害を最小限に抑えるよう努めます」と決意を語った。
 シンポジウムには世界各国から政府関係者や有識者、学生らが参加。津波防災に関して知識を共有し、意見を交わした。(木村綾、写真も)

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