毒殺説をまた否定 コーヒー毒殺事件 弁護側証人の専門家

 毒入りコーヒーでワヤン・ミルナ・サリヒンさん(当時27)を殺害したとして、ジェシカ・クマラ・ウォンソ被告(27)が殺人罪に問われた裁判の第20回公判が14日、中央ジャカルタ地裁で開かれた。弁護側証人として、インドネシア大学(UI)の毒物科学専門家が召喚され、「(被害者ミルナさんの)死因はシアン化合ナトリウムではない」と証言、同物質による毒殺説を否定した。

 毒物科学専門家のブディアワンさんは「シアン化ナトリウムが見つかったのは胃だけで、量も1リットルあたり0.2ミリグラムと少なすぎる。微量のシアン化ナトリウムは食べ物にも含まれており、体内に残っていても自然なことだ」と説明。5日の第18回公判で証言した法医学者専門家のベン・ベン・オンさんと同じ見解を述べた。 
 起訴状によると、ミルナさんが飲んだアイス・ベトナムコーヒーに含まれていたシアン化合物の量は「1リットル当たり7.4グラム」。
 第9回公判(8月4日)に召喚された検察側証人、国家警察犯罪捜査局のヌル・サムラン・スバンディさんは、起訴事実を補強する形で▽1杯300〜350ミリグラムのコーヒーに5グラム以上のシアン化ナトリウムが混入▽被害者はストローで約20ミリリットル、約297ミリグラムのシアン化ナトリウムを摂取――などと証言した。
 これら捜査当局側が特定した毒物の量を検証するため、ブディアワンさんは、実際に同量のシアン化ナトリウムをコーヒーに混ぜ、臭いや色を調べた。
 その結果、「黄色に変色した」(カフェ従業員らの証言)とされるコーヒーの色について、ブディアワンさんは「ミルクの入った通常のコーヒーと変わらなかった」と証言、変色説を否定した。
 シアン化ナトリウム入りコーヒーの臭いに関しても、「シアン化ナトリウムは液体に混ぜると青酸ガスを発生させる。(実験時は)ホットコーヒーの場合は数十秒で、アイスコーヒーでも数十分もすれば、ガス臭が実験室に充満した」と指摘。ブディアワンさんは「近くにいた人はめまいなどを起こしたはず」と付け加えた。さらに「信じられないようなら、次回公判で実演しても構わない。味を知りたいなら私が毒入りコーヒーを飲みますよ」と話し、傍聴席を沸かせた。

■法廷で突然発煙
 ブディアワンさんの証言後、昼休憩に入ったが、公判再開直前の午後2時40分ごろ、プロジェクターから突然煙が上がり、発火するハプニングがあった。原因は配線の差し間違いだったという。けが人はなかったが、女性の傍聴人や弁護士らが「バチッ」という音と発火に驚き、法廷外へ避難しようとした。(毛利春香、写真も)

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