高層住宅建設に暗雲　ジャカルタ　用地取得できず予算面でも

　ジャカルタ特別州で昨年から始まった公営高層住宅の建設が遅れている。用地取得が滞っているためで、当初予定では２万戸の建設に着手する予定だったが、特別州は当面１万４千戸に修正した。

　「土地の所有権を明らかにしない限り、建設はできない」。ジャカルタ特別州のアホック知事は州庁舎で８日、建設計画の一部を中止とする考えを示した。
　その一つが西ジャカルタ・チュンカレン。４.６ヘクタールの土地に１６階建ての住宅２棟を建設し、５５２戸が入る予定だった。中止に追い込まれた理由の一つに、地権者からの用地取得の問題がある。
　地権者からは６６８０億ルピアで用地を取得したが、ほかにも複雑な権利関係が発生して訴訟に発展しているため、工事に着手することが難しい状況だという。
　南ジャカルタのポンドック・ピナン、北ジャカルタのワドゥック・プルイット、東ジャカルタのピナン・ランティでも高層住宅建設予定がされていたが、同様の理由で中止した。
　全体の計画では３９棟の高層住宅を建設する予定だったが、アリフィン住宅・建築物局長は「計画を変更して３５棟にする方針だ」と話した。年内には２３３９人が居住できる８棟の高層住宅が完成するという。
　チュンカレンの州営高層住宅用地取得に関しては、地権者から９６億ルピアを賄賂として受け取ったとして、イカ・ルスタリ前住宅・建築物局長が先月解任されるなど混乱が続いていた。
　住宅建設に当たっては、政府から約７兆ルピアの予算の割り当てを受ける予定だったが、延期されている。州政府の予算だけでは全体の半分にも満たないことから今後も建設をめぐって混乱が続きそうだ。（平野慧）