野焼きに賠償1兆ルピア 農園開発会社に命じる 森林火災訴訟
リアウ州メランティ県で違法野焼きで森林火災を引き起こしたとして、環境林業省が農園開発会社ナショナル・サゴ・プリマに賠償を求めた裁判で、南ジャカルタ地裁は11日、計約1兆ルピア(求刑1.4兆ルピア)の罰金・賠償金の支払いを命じる判決を言い渡した。同様の訴訟では最高額。環境林業省は「歴史的な判決」と歓迎した。
判決によると、同社は2015年、メランティ県で3千ヘクタールを野焼きで開墾し、環境破壊と経済的損失をもたらした。南ジャカルタ地裁は同社に対し、約3190億ルピアの罰金と、燃えた土地の再生にかかる費用として、7530億ルピアの賠償を命じた。
会社の廃業を求めていた、原告の環境林業省の訴えは退けられたものの、同様の訴訟で最も高額の支払いを命じる判決となった。
環境林業省のラシオ・リジョ・サニ司法総局長は地元メディアの取材に「8月11日は、インドネシア国民にとって環境の正義を守るための歴史的な日となった」と強調、「今回の判決が他の環境破壊のケースにおける基準になれば」と評価した。
この判決を受け同省は、1月に同様の裁判で証拠不十分として無罪判決となっていた農園開発会社ブミ・メカル・ヒジャウへの控訴も検討する。
ナショナル・サゴ・プリマは、農園経営大手のサンプルナ・アグログループ。サゴヤシを栽培し、サゴでん粉を国内外で販売している。判決に対し同社は控訴を検討する。
スマトラ島やカリマン島では、ヤシ農園開発のために違法に焼き払った泥炭地などで、乾期になると火災が頻発し深刻な問題となっている。昨年は、東南アジアで過去最悪の煙害が起きた1997年以降で最多の温室効果ガスの排出量を記録した。
煙害拡大を受け、訪米中のジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領が10月、予定を切り上げて帰国し、南スマトラ州パレンバンで陣頭指揮した。(木村綾)