目標は29年に60% 首都圏公共交通機関の利用率 イ日都市交通セミナー

 ジャボデタベック(首都圏)で推進する公共交通政策を日本の専門家と議論する「インドネシア・日本都市交通セミナー」が14日、中央ジャカルタのボロブドゥールホテルで開催された。インドネシア側は、2029年までに公共交通機関の利用率を現在の25%から60%まで高める目標を掲げた。

 セミナーは13年から始まり、今回で3回目。国際協力機構(JICA)、インドネシアの経済担当調整省で構成する公共交通指向型開発(TOD)を推進する「首都圏都市交通政策統合プロジェクト(JUTPI)フェーズ2」と日本の国土交通省が主催した。
 日本からは、国土交通省都市計画調査室長の菊池雅彦さんと大阪市都市計画局うめきた企画担当課長代理の藤川佳宏さんが招かれ、都市開発事例を紹介。国家開発計画省(バペナス)の担当者らも講演し、日イの企業関係者約50人が参加した。
 菊池さんは1960年代の東京・多摩ニュータウンと05年に開業した茨城県つくば市と東京を結ぶつくばエクスプレスの事例を説明。「人は便利でないと公共交通機関を使ってくれない」と述べ、郊外に工場や研究施設、大学などを作った結果、居住者数が伸びたと解説した。
 藤川さんは大阪市北区で電車の車庫となっていた再開発地域の「うめきた」の事例を取り上げ、独自の区画管理団体を紹介。民間と自治体が協力して利便性を向上したと説明した。
 JUTPIフェーズ2のプロジェクトリーダーを務めるJICA専門家の秋村成一郎・都市交通アドバイザーはジャカルタで建設が進む次世代型交通システム(LRT)と首都圏専用バス「トランスジャカルタ」の共存を提案。秋村さんは「バスなど並行して走る路線になると、乗客を取られてしまう恐れがある」と注意。トランスジャカルタとLRT路線が並行して走らないよう注文をつけた。
 昨年12月、運輸省に首都圏交通管理庁(BPTJ)が発足し、首都圏交通についての新たなマスタープランが完成間近となっている。エリー・アドリアニ・シナガBPTJ長官は基調講演で「29年までに公共交通機関利用率を60%まで高め、首都圏の80%までカバーする。目標達成のために今後も日本との協力が必要」と述べた。
 BPTJは中央ジャカルタのスマンギ交差点で建設が進む環状高架道路が完成すると、約30%渋滞が減るとの予測も示した。菊池さんは「都市開発で民間側に出た利益をスマンギ交差点の環状高架道路へ還元する取り組みが始まっていると聞いた。こういう成功事例を他の地域でも取り入れ、事例を積み重ねていくことが大切」と語った。(中島昭浩、写真も)

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