ナトゥナに開発4案 水産・観光・資源・防衛 ジャワから漁船400隻派遣

 政府は資源が豊富なリアウ諸島州ナトゥナの海域を守るため、包括的な開発に着手する。水産振興のため、ナトゥナに魚市場を建設しジャワ島の漁船約400隻を派遣するほか、資源開発と防衛機能強化を進める。また国内・海外の観光客を呼び込む場所として知名度を上げる。中国の海洋進出が強まっている背景を踏まえ、ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領は早急にナトゥナ諸島の開発に取り組む必要性を強調し、政府の中枢で議論を続けている。
 エネルギー鉱物資源省石油ガス総局のウィラトマジャ・プジャ総局長は14日、「今夕からナトゥナ沖の石油ガス開発について会議を開く」と述べ、ナトゥナの開発に向けて議論を進めていることを記者団に明かした。
 リザル・ラムリ海事調整相は13日、海洋水産省で会見を開き、ナトゥナ諸島の開発について具体的に水産振興、観光促進、石油ガス開発、防衛機能強化の四つの方向性を示し、ナトゥナの地理的重要性を説いた。
 ナトゥナ諸島沖では、中国船による違法漁業のほか、ベトナムやマレーシアなど近隣諸国の違法漁業も後を絶たない。こうした現状を踏まえ、リザル海事相はナトゥナ諸島に魚市場を建設し、各国から漁業従事者が集う市場をつくる計画を明かした。「東南アジア諸国連合(ASEAN)内で最大の魚市場にしたい」と強調。同相は以前にも「ナトゥナに東京の築地市場のような市場をつくりたい」と意気込みを語っている。
 約1千平方メートルの土地を使い、冷凍保存できる設備も整備する。政府はナトゥナの水産資源の持つ潜在性のうち、現在わずか8・9%しか享受できていないと試算する。
 またジャワ島で操業する漁船約400隻をナトゥナに派遣する。政府は漁民の派遣でナトゥナ沖での漁獲量が従来の4割以上増えると試算する。ナトゥナ諸島で生活できるよう漁民の住居環境も整備する。
 リザル海事相は観光促進について、「ナトゥナ諸島の海岸の砂浜は白く、美しい自然景観が広がる。国内・海外の観光客を引き寄せる魅力を秘めている」と話し、「フランス大使館と観光開発について協議している」とした。またイグナシウス・ジョナン運輸相は13日、「運輸省と国軍で協力し民間の飛行機が離着陸できる空港の整備を進める」と話した。
 ナトゥナ周辺にある豊富な石油ガス資源の開発も進める。原油価格が下落しているため、15の油田開発が運営を中断していると現状を説明。「原油価格が1バレル当たり60ドルを超えれば、開発作業を実施できる」(リザル海事相)と語った。
 防衛機能強化については、ことしの修正予算審議でナトゥナの軍事機能を強化するための国防省の予算増額案が先月末に可決された。国軍はナトゥナ諸島に埠頭の建設や滑走路の整備、潜水艦が停泊できるよう整備を進める。(佐藤拓也)

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