レバラン祝うムスリム 警備強化もあふれる参拝客 交通事故は2割減

 ラマダン(断食月)が明けた6日朝、全国各地で大規模な集団礼拝が行われ、2億人を超えるムスリムがレバラン(断食月明け大祭)を祝った。15万人以上が礼拝に訪れた中央ジャカルタのイスティクラル・モスクは、5日に中部ジャワ州ソロで起きた自爆テロのため警備が強化されたものの、あふれる参拝客と多数出店した露店で祭りのようなにぎわいを見せた。

 5日午後5時53分、日没を知らせるアザーンが鳴り響いた。1カ月におよぶラマダンが終わったことを祝い、中央ジャカルタのホテル・インドネシア(HI)周辺やタナアバンでは、花火が次々打ち上げられ、太鼓の音が響いた。レバラン前夜の伝統行事「タクビラン」の一環で、花火や爆竹の音は翌早朝まで続いた。
 レバラン初日の朝には各地で集団礼拝が行われた。午前6時半ごろ、帰省で閑散とするジャカルタ中心部の目抜き通りとは裏腹に、イスティクラル・モスク前では渋滞が発生した。約12万人収容可能な東南アジア最大級のモスクでは、中に入りきらない正装姿の参拝客が通路や階段、広場、建物の外にもあふれ、新聞紙やカーペットを広げた上で祈る姿もあった。ユスフ・カラ副大統領やルクマン・ハキム宗教相ら閣僚も共に祈った。
 ソロの自爆テロを受け、イスティクラルではこの日、警察官や軍、大統領親衛隊を動員した厳戒な警備態勢が敷かれていた。普段は出入り自由の各入り口に入場ゲートを設け、手荷物検査が実施された。
 イスティクラルでの礼拝に臨んだズルキフリ・ハサン国民協議会(MPR)議長は礼拝後、自爆テロについて、事態を治安部隊にまかせ、平静を保ち、レバランを平和に祝うよう呼びかけた。サウジアラビアで起きたテロにも触れ「テロと宗教は関係ない」と強調、「インドネシアと国際社会は団結し、共にテロと戦っていかなくてはならない」と語った。
■Uターンラッシュも
 レバランを帰省先や旅行先で過ごした人たちのUターンラッシュが8日、始まった。企業や官公庁の多くは11日に仕事始めを迎えるため、運輸省は混雑のピークが10日まで続くと予想している。
 レバラン前は高速道路が帰省客で混み合い、交通事故が増える傾向にある。運輸省の7日の発表によると、ことしのレバラン前(6月30日〜7月6日)の交通事故は、前年同時期比21%減の1289件。死者数は同26%減の244人だった。イグナシウス・ジョナン運輸相は地元メディアに「対策と警察との連携が功を奏した」と話している。
 一時20キロを超える渋滞が発生した、中部ジャワ州の東ブルブス付近では、保健省の発表によると3〜5日の3日間で13人が死亡した。高血圧や糖尿病、心臓病などの慢性病のほか、疲労や脱水症などが原因だったという。
 保健省は、車内に長時間いる場合、疲れや眠さを感じたら近くの施設などで休み、緊急時は、全国27都市で1日から運用開始した救急通報番号「119番」を活用するよう呼びかけている。(木村綾)

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