円借款で新港建設 日イ首脳が合意 西ジャワ州パティンバン 「両国の象徴的事業に」

 主要7カ国(G7)首脳会談(伊勢志摩サミット)の拡大会合に合わせて訪日したジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領は27日、安倍晋三首相と懇談した。国内最大級となる西ジャワ州パティンバンの新港を日本の円借款を受けて整備する方針を互いに確認した。インフラ開発での協力を加速させる。   

 両首脳はサミット会場の志摩観光ホテルで、午前11時20分ごろから約10分間懇談した。
 西ジャワ州スバン県パティンバンでの新港整備について安倍首相は「両国の象徴的事業になると確信しており、円借款と日本の技術を活用して最大限協力する用意がある」と述べ、ジョコウィ大統領は「新港について2日前に大統領令に署名した。日本の政府開発援助(ODA)を活用し、運営についても日本と協力して行いたい」と応じた。
 政府は国内最大のタンジュンプリオク港(北ジャカルタ)での貨物量増加を受け、首都圏の物流機能を強化するため、2012年から国際協力機構(JICA)と協力して西ジャワ州カラワン県チラマヤで新港建設に向けた調査を進めていたが、チラマヤで操業する国営石油ガス・プルタミナの反対を受けて計画を変更、今月2日の関係閣僚会議で、パティンバンに新港を造ることが決まった。インドネシア運輸省は、17年に着工、19年に一部開港を目指しており、最終的には20フィートコンテナ(TEU)換算で年間750万個の容量と、タンジュンプリオク港とほぼ同規模の国際港となる計画。インドネシア側によると、建設費は約30億9千万ドル。
 安倍首相はまた、電力や運輸分野での協力についても議論を深めていきたい考えを示した。
 ジョコウィ大統領は、中部ジャワ州バタンの石炭火力発電所について、土地収用問題がなくなったため速やかに日本と一緒にフォローアップしていきたい、と伝えた。日イの官民連携事業としてバタンに東南アジア最大級の計2千メガワット(MW)の発電所を造る計画で、16年末の一部稼働を目指していたが、地元住民の反対で土地収用が難航し着工が遅れていた。
 ジャカルタ〜スラバヤ間のジャワ島北部を横断する鉄道の計画については、現在インドネシアで詳細を検討中で、追って日本側に相談したいと伝えるにとどめた。
 また、安倍首相は自動車の関税問題の早急な解決を希望する、と伝えた。ジョコウィ大統領は「自動車の関税の問題解決は、農林水産品の市場開放とワンパッケージでできるだろう」と応じた。
 自動車の関税をめぐっては、二国間の経済連携協定(EPA)で、日本が輸出する排気量3千cc以下の乗用車の関税を13〜15年に20%、16年以降に5%に引き下げることで合意していたが守られてこなかった背景がある。日本側は事態の打開を求めており、両国は昨年3月の首脳会談でEPAの見直し作業を進めることを確認している。(木村綾)

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