規制解除は時期尚早 なぜ車は戻って来たか JICA専門家 3イン1渋滞調査

 一時的な規制解除が1カ月延長されたジャカルタ中心部の渋滞緩和策「3イン1」。国際協力機構(JICA)専門家として経済調整省に派遣されている秋村成一郎・都市交通アドバイザーは「混雑が悪化した。規制解除は時期尚早」と指摘する。延長期間には、今後の渋滞緩和策を探るため「渋滞の程度の観測に加え、どのような人がどのような理由で目抜き通りに戻ってきたのか意向調査が必要」と提言した。                               
 秋村さんは14年8月から、スディルマン、タムリン両通りで独自に通行時間調査を実施している。調査はスナヤン・ロータリー〜ホテルインドネシア(HI)前=第1区間=とHI前〜モナス広場前ロータリー=第2区間=をそれぞれ北上・南下に分け、自動車での通行にかかった時間(旅行速度)を計測。雨天時を除く平日に実施した。
 今回、最初の試験開始前3月21日〜4月4日と規制解除期間を含む4月5〜15日を調査。その結果、いずれの区間でも規制解除前と比べ、混雑度合いが高いことが分かった。秋村さんは「他の道路を使っていた車が流入したのが主因」とみる。
 それぞれの速度の平均(二乗平均平方根)を比べたところ、規制解除前後では、朝(午前7時〜同10時)の第1区間北上時に14.2キロ、同区間南下時に15.4キロ下がり、スマンギ交差点を目指す方向で混雑度合いが増した。
 公益財団法人・日本交通情報センターは、一般道では時速10キロ以下を「渋滞」、同20キロ以下を「混雑」と定義。日中の混雑具合は解除前後にさほど変化がなく、北上に比べ、南下は20キロ以下の速度が多く混雑していることが分かる。
 第2区間の日中南下では、15年同時期に比べ3.6キロ速度が上がった。これについては「大量高速鉄道(MRT)の工事進展に伴う車線拡充のため」と分析した。
 これまでは警察当局が取り締まりを継続することで有効に作用すると3イン1を評価してきた。だが「新しい公共交通機関の導入なしに規制解除するのは時期尚早。規制は、高架型の次世代型交通システム(LRT)のような抜本的な対策が導入されるまでは必要」との見方を示した。
 今後の渋滞緩和策については「3イン1も電子課金システム(ERP)も、どちらも交通量を減らせるが、逆に経済にマイナスインパクトを与えるので、恒久策としては勧められない」と話した。(中島昭浩) 

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