バトゥール山に博物館 バリ 初のジオパークに期待
国連教育科学文化機関(ユネスコ)がインドネシアで初めて世界ジオパークとして認定した、バリ州北東部の「バトゥール・ジオパーク」内に、活火山や湖の成り立ち、生態系などを展示した初のジオパーク博物館が1日、開館した。
バトゥール・ジオパークは、1804〜2000年に計22回噴火したバトゥール山(標高1717メートル)と、その南東側のバトゥール湖を取り囲む370・5平方キロの地域。州都デンパサールの約55キロ北東にある。
バトゥール湖は、2万9千年前と2万年前に起きたバトゥール山の大噴火により形成された二つのカルデラ湖。火砕流や溶岩流、噴気孔や温泉などの地熱現象など、さまざまな自然の姿を観察できる。ユネスコは12年9月20日に、認定した。
開館式典に出席したスディルマン・サイド・エネルギー鉱物資源相は「特異な地質と生物や文化の多様性を保護し持続させるための重要な拠点だ」とあいさつした。国内には世界ジオパークの候補地となる33カ所のジオパークがあり、バトゥール・ジオパークがモデルとなることに期待を示した。
国内には世界ジオパークがもう1カ所ある。昨年認定されたグヌン・セウ・ジオパークは、ジョクジャカルタ特別州南部から中部ジャワ州を超え、東ジャワ州に至るまでの東西120キロの沿岸地域。石灰岩が雨水や地下水によって浸食されてできた、世界有数の熱帯カルスト地形が広がり、先史時代の集落跡や居住跡が残る洞窟が点在している。
スディルマン氏は「世界基準のジオパークを保持できるという国際的な信頼を勝ち取るための重要な一歩を踏み出した」と発言。今後、北スマトラ州のトバ湖やジャンビ州のメランギン、西ヌサトゥンガラ州ロンボク島のリンジャニ山、西ジャワ州のチレトゥの国内4カ所を世界ジオパークとしてユネスコへの申請を予定していると説明した。
世界ジオパーク 世界的に貴重な地形・火山などを複数抱える自然公園。世界遺産の地質版とも言われている。2001年から始まり、15年11月からユネスコの正式事業となった。各国のジオパーク・ネットワークに加盟後、申請する。4年に1度審査があり、適正や活動ぶりがチェックされ、不合格となった場合は再度申請が必要。15年9月現在、33カ国・地域の120カ所が認定されている。日本では09年に糸魚川(新潟)が初認定。ほかに洞爺湖有珠山(北海道)やアポイ岳(同)など8カ所。(中島昭浩)