カリジョド強制撤去 最後の置屋街 1日で更地 ジャカルタ特別州 厳重警備5000人投入

 ジャカルタ特別州政府は29日、緑化計画に伴い、西・北ジャカルタ区に位置する置屋街「カリジョド」の強制撤去を実施した。オランダ植民地時代にさかのぼる歴史を持つ首都最後の「赤線地帯」の幕が閉じられた。跡地は市民の憩いの場として公園に生まれ変わる予定だ。 

 州政府は周辺道路を通行止めにし、午前7時半ごろ、アンケ川沿いに並ぶカフェやバーなどの娯楽施設から取り壊しを開始。ショベルカー8台がごう音を立て、次々と建物を崩していった。午前9時過ぎに降雨があったが撤去は進められ、夕方には密集地だった同地区が更地になった。州警備隊や警察、国軍から約5千人が警備にあたり、がれきからの出火を予想し消防車15台も配備された。
 州政府はこれまで住民に自主撤去を勧告、違法住居やカフェなど娯楽施設は28日までにすべて閉店していた。約200世帯553人の住民は北ジャカルタ区マルンダの公営団地に移転。同州の住民登録証(KTP)を持たない住民は他の転居先を探したり、里帰りしたりしたという。
 撤去作業を見ていた住民のスシロさん(70)は「これで長い歴史が終わった」と語る。「プレマン(チンピラ)たちが支配する場所と言われてきたが、彼らは恐ろしい存在ではなかった。誰もが食べていくためにここに住んでいただけだ」とつぶやいた。
 アホック知事によると、緑化計画で建設する公園はカリジョド地区の4ヘクタール。子ども向けの広場やジョギングコース、フットサル、スケートボード、ピクニック用のスペース、野外ステージ、トイレ、モスクなどを完備する。建設費の200億ルピアは企業のCSR(企業の社会的責任)活動で賄う。整備は「5カ月あれば十分」(アホック知事)としている。
 撤去作業は先月8日、カリジョドのカフェでビールを飲んだ男が飲酒運転で4人を死なせる事故を起こしたことをきっかけに、アホック知事が断行を宣言。事故から3週間で歴代知事が成し遂げなかった撤去に踏み切った。(山本康行、写真も)

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