EC市場 財閥割拠 新サービスで差別化

 オーナーが長者番付の常連である財閥企業が電子商取引(EC)市場をめぐり競争を激化させている。業界関係者はEC市場が盛り上がるまで2、3年はかかるとするなか、資金力が豊富な財閥や投資家が新サービスや得意分野で差別化を図り市場定着を目指している。         

 ファッションブランド「ZARA」など多くの有名店とフランチャイズ契約を結ぶミトラ・アディプルカサ(MAP)は18日、ショッピングサイト「MAPEMALL」をお披露目した。フランチャイズ契約で扱っている商品をオンラインで販売する。同社のフェティ・クワルタティ氏は今後5年間で、オンライン上の売り上げを全体の10%まで引き上げる目標を掲げる。
 「ハイパーマート」や「マタハリデパート」など全国に小売店を持つリッポー・グループは昨年オンラインサイト「マタハリ・モール」を開始。2月には、オンラインで購入した商品を、電車の駅やマタハリデパートで受け取れるサービスを始め、オンラインとオフラインをつなぐ試みで差別化を図る。
 先日ネット通販から撤退を表明した楽天は2011年に複合メディア大手のメディア・ヌサンタラ・チトラ(MNC)グループと合弁会社(楽天51%、MNC49%)を設立していたが、13年8月に合弁を解消。そのMNCは楽天と提携を解消後、韓国のテレビ通販大手と組み「MNCショップ」を始めた。テレビ通販だけでなく、オンラインサイトにも力を入れている。
 米経済誌フォーブスによる長者番付で、7年連続首位の富豪ブディ、マイケル・ハルトノ一家はオンラインサイト「ブリブリ」に出資。サリム・グループもオンラインサイト「ラザダ」に出資する独系ロケット・インターネットの一部株式を取得した。シナールマス・グループも伊藤忠商事と共同でポイントを付与するサイト「エキサイト」を運営する。ミニマーケット「アルファマート」もオンラインショップを始めるなど、長者番付で上位に入る財閥のオーナー一族が相次いで参入している。
 「市場が盛り上がるまであと2、3年はかかる」(EC業界関係者)と資本力のない企業にとって我慢の時期が続くなか、EC広告の露出頻度は圧倒的に増加。米国調査会社ニールセンによると、15年のEC向けの広告費は3.5兆ルピアで、14年と比べ44%も増加している。広告費全体の成長率は14年比で7%増(総額118兆ルピア)。
 インドネシア政府はこのほどEC市場の拡大に向けたロードマップ策定の作業を終えた。長年EC市場拡大の障壁とされている物流面の改善や起業家の支援、税制などを明確にする予定だ。(佐藤拓也)

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