怒った乗客が離陸阻止 ライオンエア トラブル相次ぐ 運輸省が処分検討

 格安航空大手ライオンエアのトラブルが相次いでいる。ライオンエアはよく遅れることで知られるが、後から出発するはずの飛行機が先に飛ぶことになり、怒った乗客が離陸を阻止するという前代未聞の事態が起きた。運輸省は制裁処分を検討している。

 「事件」が起きたのはスカルノハッタ空港第3ターミナル。21日午前4時半出発予定のマカッサル行きライオンエア898便の搭乗案内がないまま、午前8時15分出発予定のマカッサル行きライオンエア778便が出発しようとした。
 898便の乗客約120人は待たされた挙句、後発便出発の案内を聞いて激怒、係員の制止を振り切って滑走路に入り、778便の航空機を取り囲んで出発を阻止した。
 一部の乗客は機内にまで入り、機体近くに座り込んで抗議する乗客もいた。898便の乗客は「(ライオンエアからは)遅延理由が説明されず、778便に搭乗できないなんてあり得ない」と話した。結局、両便とも欠航となり、ライオンエアは急きょ代替機を用意、両便の乗客335人は午前11時ごろ、マカッサルに向かった。
 運輸省によると、898便は飛行許可をそもそも申請していなかったため、空港としては離陸許可を出すわけにはいかなかったという。遅延原因を調査した同省航空安全局のナシル局長は23日、調査結果を公表し、遅延後の対応として、遅延理由の迅速な説明、収容人数の多い代替機の用意――が不足していたと指摘した。
 また、阻止行為をした乗客について、同局長は「航空機の安全を脅かした行為は航空法に違反しており、告訴する可能性もある」と話した。
 同省の結果を受け、ライオンエアのエドワード社長は同日、乗客らに対し謝罪した。遅延が発生した理由としては「飛行許可について内部で調整できていなかった」と説明した。
 ライオンエアの遅延は毎日のように起きている。東ヌサトゥンガラ州のエル・タリ空港では22日、ジャカルタ行き693便がエンジントラブルで出発できず、13時間遅延した。スカルノハッタ空港でも同日、パダン行き212便が4時間遅延した。
■操縦室で誕生祝いも
 今月14日には、スラバヤ発デンパサール行き990便の機内で、操縦室内で副操縦士がうめくような声を乗客が聞いている。さらに、同じ便で飛行中に拡声装置を通じて乗務員の誕生日を祝っていたという。エドワード社長はこの副操縦士を乗務停止処分としたが、批判は高まるばかりだ。
 国会第5委員会(運輸・インフラ担当)のニザル議員は「運輸省はライオンエアの運航許可を取り消すべきだ。利用者に質の良いサービスを提供できていない」と批判した。(小塩航大)

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