マージャンを楽しむ アニメきっかけに
「ポン」「リーチ」「ロン」。インドネシアで日本式のマージャンに夢中の若者たちがいる。「日本のマージャンをインドネシアの新たなボードゲームとして広めたい」。大学キャンパスの影を作るガゼボ(東屋)の下で地べたに座った4人が、じゃらじゃらとマージャン牌を混ぜる音が響く。
「ジャカルタ大好きマージャン」から文字をとって名付けられたコミュニティ「KARASUMA」は、2012年に誕生した。メンバーは現在、大学生2人と社会人8人の計10人。東ジャカルタのジャカルタ国立大学(UNJ)で2週間に1回、日曜にマージャンを打っている。
創設者で代表のプトゥ・ウィトラさん(25)は、普段は西ジャワ州カラワンの日系企業で働く会社員。いつもオンラインゲームでマージャンを打っていたが、実際に人と顔を合わせながら打ちたいと、同コミュニティーを立ち上げた。日本のマージャンアニメ「咲」や「アカギ」をきっかけに興味を持ったメンバーがほとんどで、インターネットやオンラインゲームなどを通じて日本式のルールを覚えたという。
マージャン卓にはビリヤードに似たボードゲーム「カランボール」の台を再利用。日本のマージャン牌はインターネットで購入して取り寄せた。地べたに座ってあぐらをかき、それぞれが手牌をのぞき込むようにしながらゲームが進んでいく。
インドネシアでは賭博は禁止されており、取り締まりも厳しい。「KARASUMA」では、金や物は一切賭けず、マージャンをボードゲームの一つとして楽しみ、将棋や囲碁と同じように日本の遊びとして広めたいという。日本語翻訳のアルバイトをしているハリー・マウラナさん(27)も、仕事の合間を縫ってマージャンを打ちに来る1人だ。「賭博は犯罪で、絶対にしてはいけない。マージャンを純粋に遊びとして楽しんでいる。まだ点数の計算は難しくてできないけれど」と話した。
プトゥさんは「マージャンは年齢や職業など関係なく誰でも遊べる。やればやるほど奥が深くて面白くて、やめられなくなる。共通の趣味を通じて、壁を作らず友達と話しながら打つのが本当に楽しい」と笑顔で語った。
日本の文化イベントなどに足を運び、マージャンを紹介。同じ趣味を持つ仲間を増やしているという。ジャカルタではダルマ・プルサダ大学にマージャンのコミュニティーがあるほか、バンテン州タンゲランやジョクジャカルタ特別州、西ジャワ州バンドン、東ジャワ州マランにも打ち手がいるという。(毛利春香、写真も)