プラスチックごみ 世界2位 イ排出 年間320万トン 海へ流れ北極に到達

 「北極までプラスチックごみが届いている」。独アルフレッドウェゲナー極域海洋研究所(AWI)は2012年から始めた調査で、北極圏の海上で31のプラスチックごみが見つかったと明らかにした。海へ投棄され流れ出るプラスチックごみが世界的な問題となっている中、インドネシアが海へ排出しているプラスチックごみは年間322万トン。882万トンを排出する中国に次いで世界第2位となっている。  

 米国の非政府組織(NGO)海洋環境保護団体「オーシャン・コンサーバンシー」は192カ国を調査。新たに捨てられるプラスチックごみの約半分は、中国とインドネシア、フィリピン、ベトナム、タイのアジア5カ国で捨てられたと指摘した。海のごみの8割は陸上から排出されているという。
 経済成長に伴い工場などでプラスチックを原料とする商品を取り扱うことが急激に増えたアジア諸国で、ごみ処理・管理システムが整っていないと指摘。世界中の海に捨てられているプラスチックごみの総量は約1億3千万トンで、毎年約500〜1300万トン増加しており、10年後には2億2500万トンまで増えると予想されている。これは魚3トンにつきごみ1トンの割合となる。
 プラスチックごみは自然分解されないが、岩などへの衝突や波、紫外線などによる風化の影響で割れたり砕けたりするうちに小さくなることで消失する。ティッシュが2〜4週間、新聞紙が6週間で分解されるのに対し、プラスチックボトルは約450年かかるとされている。

■ポイ捨て原因に
 環境林業省によると、インドネシアではことし1人あたり1日700グラムのごみを排出しており、人口2億5千万人が暮らすインドネシア全土では17万5千トンに上る。年間では6400万トンのごみを排出しており、同省が2013年に公表したインドネシア環境調査のデータによると、1年に排出されるごみのうち海や河川に廃棄されるごみは7.82%。特に海に面した地形を持つヌサトゥンガラ諸島やマルク諸島などで海へ投棄される割合が高い。
 日本の環境省から環境林業省に出向している国際協力機構(JICA)専門家の塚田源一郎さんによると、河川や河川敷に不法投棄されたごみが海洋までたどり着くことも多いという。「ごみ処理場や埋立地の不足というよりは、どこにでもごみをポイ捨てしてしまう住民の意識が大きな問題」と話した。
 インドネシアでは2008年に廃棄物管理法が制定され、ごみの分別や3R(削減、再使用、リサイクル)の意識向上に努めるようになった。西ジャワ州ブカシ市バンタルグバンのごみ最終処分場には、回収した廃プラスチックをごみ袋の原料として精製する機械があるなど、主にプラスチック製の椅子やペットボトルがプラスチック粒「レジンペレット」や袋として再利用されている。(毛利春香)

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