看護師 再受験を支援 EPA帰国者に MedPAと北九州小倉医師会

 経済連携協定(EPA)に基づく看護師候補者として訪日し、国家試験に合格できず帰国したインドネシア人に対し、一般社団法人メディカル・プラットフォーム・エイシア(MedPA)と福岡県の北九州市小倉医師会は連携して再受験を支援する事業に取り組んでいる。来年2月の国家試験を受験する8人に、インドネシアで4カ月間の集中講義を提供するほか、渡航や滞在にかかる費用を助成する。

 MedPAと小倉医師会は中央ジャカルタの国際石油開発帝石(INPEX)社内で12日、集中講義の開校式を開いた。来年2月の試験に向け、INPEXの部屋を借り午前9時から午後4時までの集中講義を試験直前まで実施する。
 MedPAと小倉医師会は2013年度に、国家試験に受からず帰国した6人に集中講義を始めた。うち2人が福岡県の准看護師試験に合格した。14年度は、小倉医師会が事業にかかる費用約1千万円のほぼ全額を負担し支援を継続。受講生11人のうち2人が初めて看護師の国家試験に合格した。
 ほかに9人が准看護師試験に合格し、日本滞在が4年間認められ、引き続き国家試験合格を目指しているなど、成果が出始めている。ことしから事業費を企業からの寄付金で捻出する計画で、日本インドネシア協会を窓口に企業から支援を募る。
 集中講義に参加しているマラメス・シマンジュンタックさん(32)はEPA看護師候補者2期生として訪日し、東京の医療機関で勤めていたが、国家試験に合格できず2013年にインドネシアに帰国。帰国後、医療機関に勤めていたが、この事業を知って応募した。マラメスさんは「もう1度日本で働くために、この4カ月間を大事にしたい」と目を輝かせた。
 シスカ・ロマウリ・アリトナンさん(28)も13年に帰国後、西ジャワ州バンドンの医療機関で勤務後、このプログラムに参加。「帰国後初めて本格的な日本語での授業を受講できる」と講義を活用し日本での看護師の道を目指す。受講生側の負担は5万円だが、合格した場合10万円を報奨金として受け取るため実質負担はゼロ。
 EPA看護師候補者の合格率は1割程度と低く、不合格後インドネシアに帰国し一般企業に勤め、医療の現場から離れる場合も多いという。帰国後再受験での合格者はまだまだ数えるほど。
 厚生労働省看護課によると、帰国者への支援はインターネットで無償の教材提供や、各大使館と連携し現地で受験手続きができる制度をとっているが、渡航費などの助成はない。
 集中講義の講師を1人で勤める小倉医師会の石田佳奈子さんは、今後ほかの医師会などと協力し、講義の受け入れ人数を増やすほか、日本で就労できる地域を増やし、フィリピンやベトナムでも同じ枠組みを作っていくことを目標に掲げる。(佐藤拓也、写真も)

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