高速鉄道 中国案採用 ソフヤン特使訪日で通達 菅氏 「理解しがたく、極めて遺憾」 (2015年09月30日)

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 日中が受注を競うジャカルタ〜バンドン間の高速鉄道計画で、訪日したソフヤン・ジャリル国家開発計画相が29日午前11時、首相官邸で菅義偉官房長官と会談し、中国の事業案を採用する方針を伝えた。政府予算を使わず、債務保証もしないとの条件を中国が受け入れた。計画見直しや継続発表など二転三転したインドネシア政府の態度に日本側は翻弄され、中国にインフラ輸出の目玉案件を奪われた格好だ。
 ジョコウィ大統領の特使として派遣されたソフヤン同相は会談で、中国案ではインドネシア政府が財政負担や債務保証をしないことを受け入れた点を評価したと報告した。インドネシア政府は条件として国家予算の不使用▽債務保証なし▽民間主導——を掲げており、日本側は事業が頓挫し資金回収が滞るリスクもあるため、意向を受け入れられなかった。
 菅官房長官は同日の記者会見で、インドネシア側が事業詳細を作成し直し、各国企業に提示し、参画機会を公平に提供するとの方針を急きょ変更したことに対し「理解しがたく、極めて遺憾であると言わざるを得ない」と強い不快感を表明した。財政負担や債務保証を求めないインドネシア側の要求に応じた中国案について「常識では考えられない。現実的にうまくいくかどうか、極めて厳しい」と述べた。
 インドネシア政府は9月4日、日中両案不採用とし高速鉄道を中速鉄道に変更すると発表した後、23日に鉄道計画継続の方針を日本側に伝えた。中国側は今月中旬に訪中したリニ・スマルノ国営企業相に政府条件を受け入れると表明。低予算の鉄道計画を思案するインドネシア政府とアジア地域でのインフラ輸出拡大を目指す中国との思惑が一致した。
 インドネシア政府は今後、国営企業4社がコンソーシアム(企業連合)を組み、中国企業と鉄道事業の詳細を詰める。コンソーシアムの主体企業は国営ゼネコンのウィジャヤ・カルヤ社になる予定。想定速度は時速200〜250キロ(中速鉄道)で、総事業費は約78兆ルピア(約6358億円)になる見込みだ。(小塩航大)

8月に中央ジャカルタのスナヤンシティで開かれた中国政府主催の鉄道展示会=藤本迅写す
8月に中央ジャカルタのスナヤンシティで開かれた中国政府主催の鉄道展示会=藤本迅写す
記者会見する菅官房長官=29日午後、首相官邸(共同)
記者会見する菅官房長官=29日午後、首相官邸(共同)

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