バタン発電所 事業開始 「進行具合を確認」 大統領出席 土地収用は継続中

 中部ジャワ州バタン県カンデマン郡ウジュンネゴロ村で28日、日本企業が参画する東南アジア最大級の石炭火力発電所(計2千メガワット=MW)事業開始の式典が開かれた。難航する土地収用は継続中だが、出席したジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領は同発電所を含む電力開発を政府が支援していく姿勢を鮮明にした。

 バタン石炭火力発電所は電源開発(Jパワー)と伊藤忠、地場系石炭開発のアダロ・エナジーが出資する事業会社ビマセナ・パワー・インドネシア(BPI)が40億ドルで建設する。BPIが独立系電力事業者(IPP)として国営電力PLNに25年間売電する。国際協力銀行(JBIC)が融資を検討しており、日本政府が重視するインフラ輸出の一つとして官民一体で進めてきた。
 内閣官房によると、ジョコウィ大統領は「われわれは投資に関する問題の解決を楽観視しており、これ(バタン発電所)はそのモデルとなる」と述べた。
 2019年までに3万5千MWの電力増強を経済政策の目玉として掲げるジョコウィ大統領は「関係者がすぐに動き始めることを望む。来月、2カ月後、3カ月後にも抜き打ちでここに来て(進行具合を)確認する」と同事業に対する強いコミットメントを示した。2018年に操業開始を目指すという。
 地元メディア報道などによると、土地収用は用地226ヘクタールのうち11.1ヘクタールで終わっておらず、12家族と交渉を続ける。Jパワーによると、数カ月前に整地やアクセス道路の取り付けなどの準備工事を始めた。発電所建設の本格的な工事は土地収用の完了後に開始するという。
 発電所建設は当初、12年に着工し、16年後半に操業開始する予定だったが、一部の住民や環境団体が食料生産や漁業、環境に悪影響が出るとして反対し、土地収用が難航している。
 ジョコウィ大統領は「全ての農地を使うわけではなく、食料安全保障を脅かすことにはならない」と指摘。また「電気は産業界だけの利益になるのではなく、子どもは夜でも勉強できるようになり、漁師は冷蔵設備で魚を保存できるようになる」と市民へのメリットを強調した。(堀之内健史)

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