養殖や販売の知識共有 初のフェスティバル開催 価格と価値はうなぎのぼり

 インドネシア産ウナギの価値を周知し、養殖業を盛り上げたい――。中部ジャワ州ソロのスブラスマレット大学(UNS)が中心となり産官民が連携し、養殖技術や販売方法などの知識を共有することで国産ウナギの潜在力を引き出そうと、試行錯誤を重ねている。ウナギ養殖関係者の話を2回にわたり報告する。

 UNSは25日、インドネシア初の「ウナギ・フェスティバル・インドネシア」をソロで開催した。ビジネスマッチングとセミナーには中部ジャワ州スマランやボヨラリ、東ジャワ州バニュワンギ、ジャカルタなどから、ウナギの養殖業に携わる関係者ら約30人が参加。同日夜にはUNSと協力している養殖場で育てたウナギの蒲焼きの試食会が開かれ、約100人が集まった。
 UNSは同州パチタン県でウナギ養殖に力を入れ、地元業者のビジネス拡大につなげようと奮闘している。同県にはウナギが育つ環境が整う海水と淡水が混ざる箇所が多く、天然のウナギも多い。だが、ウナギの貴重さや栄養価の高さなどが知られておらず、安価で販売されていることがほとんどだったという。
 同大数学・自然科学部のスタント副学部長は「パチタン県はウナギの宝庫の一つ。だがどのように販売すればよいか知らない人がほとんどで、ビジネスチャンスを逃している」と話す。学生らが研究のため、パチタン県へ行くことも多いという。
▼課題は価格安定化
 インドネシアでウナギの養殖を営む際、最も大きな課題となるのは価格が安定しないことだ。インドネシアのウナギ養殖場の多くは個人経営で、販売先の店などと個別に交渉してウナギを販売しているため、価格がばらばらだという。
 さらに近年、ウナギが高く売れる魚であると知った養殖業者が増えるにつれ、価格は急上昇した。養殖場が増え始めた2009年ごろは1キロ50万ルピアで取引されていたが、現在では250万〜300万ルピアに跳ね上がった。
 「ウナギは高く売れる」との報道を見た若者が養殖業を始めたものの、ウナギは他の魚より養殖方法が難しいため失敗したり、実際には安価な値段で取引されて利益を得られず、断念したりする人も多い。
 そこでUNSはインドネシア各地にあるウナギ養殖場と連携を図った。ビジネス方法や養殖技術の共有、販売や輸出先を紹介するほか、ウナギの販売・管理状態などをとりまとめている。スタント副学長は「個々で養殖・販売を続けるのは難しい。関係者が協力し合ってウナギ養殖業を盛り上げ、価格や量を安定化させて輸出も加速させたい。このフェスティバルはその第一歩」と話した。(つづく)(毛利春香)

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