「前政権は無策だった」 石油マフィア撲滅 エネ鉱相発言が物議

 石油ガスマフィア撲滅をめぐり、スディルマン・サイド・エネルギー鉱物資源相がユドヨノ前大統領の在任当時の無策ぶりを批判した発言が物議を醸している。マフィアの巣窟にメスを入れた同相は「前政権の改革案はイスタナ(大統領宮殿)で止まっていた」と指摘。マフィアを擁護していたとも受け取られる内容に「事実無根で名誉毀損(きそん)だ」とユドヨノ氏が反論している。 

■ユドヨノ氏「事実無根」
 スディルマン氏は17日に開かれた石油マフィア撲滅に関するセミナーで、昨年10月の新内閣の顔ぶれが決まり、その公表直前に、ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領とマフィアについて協議した際、「これまで(国営石油ガス)プルタミナなどから改革案は多々あったが、いつもここ(イスタナ)で止まっていた」と新大統領に伝えたことを明かした。

 この発言を受け、ユドヨノ氏はフェイスブックやツイッターを通じて反論を展開。「ブディオノ前副大統領や前閣僚5人と話し合ったが、そのような事実はないことを確認した。名誉を損なう発言だ」と厳しく非難。当時、石油ガスも手掛ける司法改革チームを設置し、マフィア撲滅に取り組んだと強調した。

■改革チームは大臣擁護
 議論の焦点はマフィアの巣窟とされ、プルタミナが今月解散を決定したばかりの石油商社プルタミナ・エネルギー・トレーディング(ペトラル)。プルタミナの子会社でシンガポールに拠点を持ち、石油輸入で暴利をむさぼるマフィアとの利害関係がたびたび批判されてきた。
 スディルマン氏は、石油マフィアを米国の暗黒街を牛耳ったアル・カポネに例え、摘発方法は「会計検査による不正の洗い出し」と持論を展開。就任早々、石油ガス統治改革チーム(ファイサル・バスリ代表)を設置し、ペトラル解散などの強攻策を打ち出した。
 ファイサル氏は「解散がこれほど早く決定したことを非常に喜んでいる」と歓迎。前大統領を批判した大臣発言は事実に基づいたものだと擁護し、ペトラルはダフラン・イスカン前国営企業相の再三の解散要求も退けてきたという経緯を説明した。

■挫折した強攻策
 ダフラン氏はジャワポス・グループを率いる新聞王で、国営電力PLN社長などを歴任した手腕を買われ、2011年10月の内閣改造で初入閣。旧態依然の国営企業の改革を断行する異端児ぶりを発揮し、スハルト政権以降、手つかずだった石油マフィアにメスを入れる方針を打ち出した。
 ファイサル氏は12年2月当時のペトラル解散案について、「ダフラン氏はユドヨノ大統領に3回呼び出された。ペトラルを解散させようとしたが強大な勢力があり、実現しなかった」と説明した。
 ダフラン氏は当時、持ち前の「記者魂」でエッセーなど自著を多数出版し、次期大統領候補として人気が急上昇。だが政党の基盤を持たない同氏のマフィア撲滅強攻策は、連立与党が国会を舞台に「ダフランたたき」を強める契機にもなり、最終的にペトラル解散案はプルタミナの内部改革を推進するとの表現にとどまり、鳴りを潜めたといういきさつがあった。(配島克彦)

政治 の最新記事

関連記事

本日の紙面

JJC

人気連載

天皇皇后両陛下インドネシアご訪問NEW

ぶらり  インドネシアNEW

有料版PDFNEW

「探訪」

トップ インタビュー

モナスにそよぐ風

今日は心の日曜日

インドネシア人記者の目

HALO-HALOフィリピン

別刷り特集

忘れ得ぬ人々

スナン・スナン

お知らせ

JJC理事会

修郎先生の事件簿

これで納得税務相談

不思議インドネシア

おすすめ観光情報

為替経済Weekly