リー元首相の死を悼む　国葬にジョコウィ大統領ら

　２３日に死去したリー・クアンユー初代首相の国葬が２９日午後、シンガポール国立大学の講堂で営まれた。ジョコ・ウィドド（通称ジョコウィ）大統領など東南アジア諸国連合（ＡＳＥＡＮ）各国の首脳に加え、日本の安倍首相や韓国の朴槿恵大統領、オーストラリアのアボット首相らが参列し、リー元首相の死を悼んだ。

　リー・シェンロン首相は弔辞で、リー元首相の発言「同僚と私は第二次世界大戦と日本の占領を体験し、日本にも英国にも我々を抑圧する権利はないと考えるようになった若い世代だ」を引用して、国家建設への決意を説き起こした。共産主義との戦いやマレーシアからの分離、英国軍の撤退などで直面した困難を乗り越え、国民を鼓舞しながら現在の経済大国を築き上げた歴史を振り返った。１９６５年の分離・独立から５０周年を迎える今年をリー元首相と祝えないことは残念だ、とも述べた。
　このほかトニー・タン大統領や前首相のゴー・チョクトン名誉上級相らが弔辞を述べた。
　ＡＳＥＡＮ各国首脳やインドのモディ首相、米国のビル・クリントン元大統領など約２０の国と地域から代表が参列した。親好が深かったヘンリー・キッシンジャー元国務長官も友人を代表して参列した。
　葬儀を前に、ひつぎはガラスケースに収められ、トレーラーで国会議事堂からシンガポール国立大に移された。沿道には強い雨にもかかわらず多くの人々が詰めかけ、建国の父に最後の別れを告げた。
　ＡＦＰ通信は政府関係者の話として、２５〜２８日にシンガポール国民の１２％を超える４１万５千人以上が、国会議事堂まで弔問に訪れたと伝えた。２７日夜には弔問者が殺到したため、一時入場を制限した。（田村隼哉）