州予算、14年上限で解決へ アホック知事、妥協せず

 2015年のジャカルタ特別州予算をめぐり州議会と対立しているアホック知事はこのほど、議会との意見調整を放棄し、今年の予算に14年補正予算編成時に設定した予算上限を適用する考えを示した。14年補正予算と15年予算の差は1800億ルピアにとどまり、専門家からは「知事の大きな勝利」と評価する声もある。

 アホック知事は6日、地元紙に対し「一銭の妥協もしない」と語り、14年補正予算の総額72兆9千億ルピアを上限に予算を再編成して内務省に報告し、4月から執行を開始する考えを示した。5日には内務省の呼びかけで州議会との協議に応じた知事だが、議論の進展を期待できないとして、今後は意見調整を放棄する方針だ。
 議会の承認を得られない場合に前年の予算上限を再適用する処置は法令に基づくもので、内務省のレイドニザル・ムネック地方財務総局長も13日までに対立が解消されなければ、同様の対応をとると語っていた。
 14年補正予算の総額72兆9千億ルピアは1月に可決された15年予算案の総額73兆800億ルピアよりも1800億ルピア少ない。ただ、知事は「全ての道路建設事業を継続する。入札も例年と同様に実施する」として大きな影響がないことを強調した。総額の上限額だけを設定しているため、内務省に報告すれば予算の組み替えも可能だという。
 知事の一方的な決断に対して州議会の反発が予想されるが、知事は「公共事業でボルト1本紛失しただけでも議会は問題視するようになるだろう」と語り、職員の職務態度の改善を図る上ではむしろ好材料になると楽観視した。
 非政府組織(NGO)の汚職監視団(ICW)で予算監視を担当するフィルダウス・イリヤス氏は日刊紙コランテンポに対し、「知事は実に大きな勝利を収めた」と語った。予算の縮小幅は小さく、予算水増しを図る議会に煩わされることもなくなるとの見方だ。
 知事は、州議会が1月に総額73兆800億ルピアの15年予算案を可決した後、無停電電源装置(UPS)調達などの名目で12兆1千億ルピアの水増しを図ったと主張。予算審議で不正があった疑いがあるとして汚職撲滅委員会(KPK)に関係資料を提出して捜査を要請した。
 州議会は知事が水増し分を除外して内務省に予算を報告したことに反発し、知事の弾劾も視野に責任を追及する姿勢だ。
■知事の支持5万人超
 知事への支持は拡大を続けている。署名募集サイトの「チェンジ・ドット・オーグ(Change.org)」では署名活動が6日までに目標の5万人の署名を集め、目標を7万5千人に引き上げた。
 ツイッターを中心に「アホックを救え」と訴える活動が続く一方で、「ルルン(アブラハム・ルンガナ州議会副議長)を救え」のハッシュタグをつけて投稿する動きが盛り上がりを見せている。「UPSは最新の装置だ。ルルンの鼻にプラグをさすだけで電力が得られる」などと議会側を皮肉る投稿が大半を占める。
 知事の仇敵とされるルルン氏は中央ジャカルタ・タナアバンの露天商移転問題で知事と鋭く対立し、5日の協議でも激しい議論を展開した。(田村隼哉)

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