北スマトラ開発始動 海洋国家実現に一歩 港湾、高速道、工業団地の統合へ

 海洋国家構想の実現に向け、ジャワ島外の開発が動き出した。ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領は27日、北スマトラ州メダン周辺のインフラ建設現場を視察。インドネシア西部で最大規模となるクアラタンジュン新港やブラワン港、セイ・マンケイ経済特区、スマトラ島縦断高速道を統合し、物流機能を向上させる方針だ。

 同州メダン市の東で建設が始まったクアラタンジュン港は第1期工事で全長400メートルの埠頭(ふとう)が整備され、年間40万TEU(20フィートのコンテナで換算した単位)の貨物を取り扱うことが可能になる。埠頭を全長21キロに延長するなど拡張工事を続け、最終的に年間6千万TEUを取り扱う国際ハブ港に発展させる計画で、実現すれば西部地域で最大の港になる。
 政府は同港やジャカルタ特別州のタンジュンプリオク港など計5港を同時期に建設・整備する方針だが、タンジュンプリオク港は今後2年で年間1500万TEUへの拡張を目指すにとどまる。
 同日、同港近郊のセイ・マンケイ経済特区でも国営アルミ精錬のアサハン・アルミニウム(イナルム)の工場建設や英・蘭系ユニリーバ現地法人の食用油製造工場の建設が始まった。
 セイ・マンケイ経済特区は新設されるクアラタンジュン工業団地と合わせて7千ヘクタールの規模になる予定。国営電力PLNの変電施設の建設も同時に開始、工業団地の環境整備が進められている。また、スマトラ島縦断高速道のうち、メダン市と西郊ビンジャイ市を結ぶ17キロの区間の建設も同日始まった。
 クアラタンジュン港の起工式に出席後、セイ・マンケイ経済特区などを視察したジョコウィ大統領は「全ての産品が加工輸出の対象になる。(原材料の加工輸出が増えれば)貿易収支は改善し、経済成長にもつながる」とあいさつ。ガトット・プジョ・ヌグロホ同州知事も「北スマトラ州を競争力ある州に発展させるための第一歩」と期待感を示した。
 ジャカルタ、スラバヤに次ぐ国内第3都市のメダンでは13年7月、クアラナム国際空港が開港。年間810万人が利用可能でスカルノハッタ国際空港に次ぐ規模を持つ。同空港には国内で初めて鉄道が乗り入れ、昨年5月には複線化工事を開始、17年の完成を見込む。
 ジョコウィ政権はジャワ島外のインフラ開発を重視している。国家開発計画省(バペナス)が昨年11月に新たにまとめた2015〜19年の中期開発計画では700兆ルピアを投じて全国24港を新設・拡張する予定だ。このなかで北スラウェシ州ビトゥン港と今回着工したクアラタンジュン港は国際ハブ港として位置づけてられている。(田村隼哉)

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